OGIMOノート~家族のためのモノづくり~

OGIMOテックノート ~家族のためのモノづくり~

重度障害の息子を持つ父親エンジニアの備忘録。自作の電子工作おもちゃ/リハビリ器具/ロボット関係の製作記録、思った事を残していきます

【まとめ】2023年ふりかえり ~家族とともにモノづくり~

2023年もいよいよ終わりを迎えます。

これまでの活動の整理として、今年2022年に取組んだ事・開発したモノをざっと整理してみました。

なお、過去4年の製作物まとめは以下です。


【まとめ】2022年ふりかえり ~家族のためのモノづくり~ - OGIMOテックノート ~家族のためのモノづくり~
【まとめ】2021年ふりかえり ~家族のためのモノづくり~ - OGIMOテックノート ~家族のためのモノづくり~
【まとめ】2020年ふりかえり ~家族のためのモノづくり~ - OGIMOテックノート ~家族のためのモノづくり~
【まとめ】2019年ふりかえり ~家族のためのモノづくり~ - OGIMOテックノート ~家族のためのモノづくり~


★は特に思い入れ深いモノ

今年の活動概要

今年のキーワードは
必要としてくれる子供達に 「届ける」ために「作る」
家族の「ため」から「ともに」モノづくり

として、息子や家族のために作ってきたモノを、当事者・支援者の方に展開する活動「誰かのためのモノづくり」(OGIMOテック開発室)に注力させて頂きました!

ogimotokin.hatenablog.com


2023年実績として、合計93件ほど

特に、今年7月に情報公開させて頂いた「アームワンダ」がとにかく一番人気で、わずか6か月で 65台も完成品一式を提供させて頂きました!
二番人気が「とものて」も15台、「オンラインボッチャ装置」「Melody Shoes」なども製作提供させて頂いておりました。

今年は本業で平日も出張先にいて不在にする事が多く、モノづくり時間の確保が難しかった事も多いのですが、家族の協力もあって無事に必要なタイミングに提供する事ができました。

提供した先でも様々な活用例をフィードバック頂き、喜んで頂けているのが何よりも嬉しく、私にとっての最高の開発モチベーションの源です!

そして、このモノづくり発信活動も家族全員で取り組む様になりました。
Maker Faire Kyoto(4月)、Maker Faire Tokyo(9月)、関西キッズ機器展(11月) に家族全員で楽しく出展参加。
まさに
「家族のためのモノづくり」から「家族とともにモノづくり」
変わった1年でした。


また本業では、屋外搬送ロボットの実用化に向け、様々な実証トライアルを繰り返してきました
その中の一つの取組みとして、本業とプライベート活動がついに繋がる取組みを進める事ができました!

自動搬送ロボット「ハコボ」×分身ロボット「OriHime」による遠隔接客実証

省人化目的で語る事の多い自動搬送ロボット(屋外移動技術)には、外出困難な方の活躍フィールドを広げる技術になりえる事を一つ社会実験の形で取り組み社会に訴える事ができました。

本業で取り組んでいる移動ロボット技術を、
体が不自由な息子や移動に困難な人達の将来の移動支援技術に繋げていきたい

という個人的想いが一つ形になって嬉しく思っています。






発明品シリーズ① : 息子(肢体不自由児)向けアシスティブ機器

(1-1)★あいさつじゃんけんハンド「とものて」

しゃべる事ができない息子の小学校生活でのコミュニケーション用に製作したロボットハンド。
名前を「とものて」命名しました。

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4年間使い続けて、息子も本装置で当たり前にコミュニケーションできる様になってきた

また、息子同様に障害を持った子供達・家族を中心に製作依頼を頂き、合計15台程 提供させて頂きました





(1-2)★魔法のバリフリガチャ [4月]

ガチャが回せない息子や子供達に楽しんで貰いたい想いで製作した電動ガチャマシン


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この魔法のバリフリガチャを使って、イラストレータを目指す娘のイラスト「にっこりん」シリーズの缶バッチを販売させて頂きました。
合計230個以上を売りあげました! (娘の夢の後押しと自信に繋がりました)


また、他のイベントでは友人製作のチャリティー缶バッチを販売させてもらったり

分身ロボットカフェDAWNにて設置させて頂いたりと、多くの可能性を広げるガチャ体験を提供できました





(1-3)★スイッチ&遠隔から操作できるドリンクサーブ装置

息子にビールを注いで欲しい想いで作ったスイッチで操作できるドリンクサーブ装置。
定期的に使ってみたところ、息子も上手に注げる様になりました

OriHimeから遠隔で操作できる機能を追加したところ、
オリィ部メンバ―と一緒に取り組んでる分身ロボット販売ワゴンにて、外出困難な友人らが自宅からお客さんにドリンクを提供&接客する体験を作る事ができました!

分身ロボットカフェDAWNにも遠隔ビールサーバーとして常設設置頂いております



(1-4) 暴走かおす動物ぬいぐるみ

出展イベントでも大人気の暴走カオスどうぶつさんシリーズ。
こちらも依頼に合わせて製作提供させて頂きました




(1-5) 3Dプリンタ自助具

手洗いブームだった息子が手洗いしやすい様に、とっさに作った延長治具
思い付いた時にすぐ実現できるのが3Dプリンタの価値




発明品シリーズ② 移動ロボット/モビリティ関連

(2-1) 子供移動支援モビリティToMo-bility

歩けない息子が屋外含めて「行きたいところに行ける」をサポートする電動モビリティ。

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今年は、小学校への登校に毎週使っていく取組を進めていました。

また、運動会では4年越しで初めて自分の意志で前に進み続けゴールテープを切る事ができました



(2-2) ROS対応移動ロボットベース台車

新しい人搭乗可能なモビリティベースの研究を進めています。
コンパクトなので屋内向けだったり、息子が使わない時は自動移動ロボとして活躍する等、
その可能性を模索しています

物理的にやってくるクリスマスなど(笑)


移動ロボットが身近にある事で、ぱっと思い付いた時に実験できるのが強い
これからも思い付きをすぐ試せる様にしていきたいですね


(2-3) ToMo-bility×OriHimeで移動販売実験 [4月/12月]

ToMobilityシステムを分身ロボットOriHimeから操作できる様にした事で、安心して屋外や人混みを分身移動できるシステムができました。

4月 高知の海岸沿いの砂浜を一緒に散歩してみたり

12月イベントにてガチャを搭載して、「遠隔操作可能なガチャ販売ロボット」が爆誕



(2-4) ToMo-bility×OriHimeで遠隔スケート[9月/12月]

ToMo-bility×OriHimeシステムを使って、スケートリンク上にて走行、遠隔からスケート体験ができるかの実験も行いました!
「生まれて初めてスケートできた」と喜んでくださって嬉しかったなぁ





発明品シリーズ③ 誰かのためのモノづくり

(3-1)★楽器&ライフアシスト「アームワンダ」[7月]

息子を始め、肢体不自由な子供達にリアル楽器演奏を楽しんで欲しい!
「おぎモトキ」×「オリィの自由研究部(β)」で取り組んできたハンドベル等のリアル楽器を演奏するために製作した装置。

まとめサイトは以下をクリック
 

2023年7月での公式リリース後、依頼製作を受ける様になり、わずか6か月で65台近くを製作提供させて頂くなど当事者ニーズの高さを感じております。



また、その依頼の中で生まれた要望を反映させて、機能アップも進んでいます





(3-2)★視線入力で楽器演奏「アームワンダ」×「EyeMoT」[9月]

指が動かない子供達とも一緒に楽器演奏をできる様にしたい!
そこで、業界有名な視線入力訓練ソフト「EyeMoT」とコラボ!
「アームワンダ」を「EyeMoTボックスアプリ」から直接操作する事ができ、
簡単に視線操作を使った楽器演奏など物理デバイス操作を試す事ができます!



(3-3)★「アームワンダ」×「インスタコード」でギター演奏[9月]

知的障害のある子供達にも、ギター演奏体験をできる様にしたい!
電子楽器業界で人気&勢いのあるインスタコードを使って、
指先操作だけでギターを鳴らせる仕組みを作っています。





(3-4) オンラインボッチャ装置 (ver.4)[9月]

2020年オリィ部から始まり、仲間達と一緒に作り育ててきたオンラインボッチャ。
(一社)オンラインボッチャ協会 – 楽しいを、あきらめない

今年はなんと、全国の支援学校を巻き込んだ業界初の全国大会(企業スポンサー)の2回目が開催されました!

本製作装置が公式機体として約1か月に及ぶ大会に使って貰うため、大幅に改良リニューアル。
既存ボッチャランプに後付け可能なシステムを構築しました。





出展イベント

Maker Faire Kyoto 2023[4月]


■M5stack User Meeting 大阪[5月]


Maker Faire Tokyo 2023[9月]
ogimotokin.hatenablog.com

■アートパラ深川[10月]


■関西キッズ機器展[11月]
ogimotokin.hatenablog.com


■社内DEIイベント[11月]





講演イベント

■株式会社かなえるリンク 研修会[3月]


■工作ワークショップ[7月]


■埼玉県越谷支援学校 全社研修会[12月]

その他 未公開ですが、依頼講演にもいくつか登壇させて頂きました!


本業①(搬送ロボット×分身ロボットコラボ)

個人的にも一番想い入れの深い取組みとして、
自動搬送ロボット「ハコボ」×分身ロボット「OriHiime」により外出困難者が屋外接客サービスを行う取組を行いました。

搬送ロボット「ハコボ」×分身ロボット「OriHime」による遠隔街歩きツアーガイド実証 [7-12月]

プライベート活動で多くかかわらせて頂いたOriHimeやパイロットさんらと、こうして本業で開発してきた移動ロボットがコラボして、
外出困難な方々の活躍可能性を広げる取組みを進めることができた事、とても嬉しく思っています。
まずは社会に対して一つ提案を見せれたかと (そして、ここから!)

取組としては、遠隔街歩きツアーガイド

他にも、街イベント(夏祭り/秋祭り)などでの移動販売にもチャレンジしました



6か月に及ぶ実証実験。毎週 神奈川県藤沢市へ出張遠征するなど、なかなか移動量の多い1年でしたが、
自分のやりたかった事に直結する取組だったので、モチベーション高く取り組ませて頂きました




本業② (搬送ロボット)

東京丸の内仲通りでの移動販売[1月][9月]

日本初 改定道交法における遠隔操作型小型車としての届け出走行開始[1月][8-9月]


広島での公園警備&広告の実証実験[11月]

こうしてユーザーに触れてもらえる機会の多くに立ち会う事ができて、とても充実していました!


 


終わりに

いつもの事ながら、製作物の紹介がかなりの長文になってしまいました。

今年は、障害を持った息子が10歳となり、
改めて息子の成長を振り返る事も多かったかと思います。

そして、自分の取組みが大きく3つに分かれている事を再認識しました。

① 家族のため (父親エンジニア)
② 必要としてくれる当事者/支援者のため (OGIMOテック開発室)
③ 将来の移動ロボ普及のため (本業)


これまで、あやふやで考えていましたが、気持ちを据えて「誰かのために作る」と決意して、オープンに発信して、
そして大きな反響と手ごたえを貰えたなぁ、と思っています。

そして、
「家族のため」から「必要としてくれる誰かのため」
「移動ロボット」を通して「当事者の可能性を広げたい」

と、私が思い描いている3つの取組みがそれぞれ交差しはじめた事を感じれて、とても嬉しく感じています。
この交差をもっともーっと拡大していける様に、来年も頑張っていきたいと思います!

いつもSNSやリアル、オンライン等で、様々な暖かいコメントやリアクションをありがとうございます!
ワタシや私たち家族もたくさん支えられています!

本当にありがとうございました!
来年もよろしくお願いいたします!