OGIMOノート~家族のためのモノづくり~

OGIMOテックノート ~家族のためのモノづくり~

重度障害の息子を持つ父親エンジニアの備忘録。自作の電子工作おもちゃ/リハビリ器具/ロボット関係の製作記録、思った事を残していきます

【まとめ】2022年ふりかえり ~家族のためのモノづくり~

2022年もいよいよ終わりを迎えます。

これまでの活動の整理として、今年2022年に取組んだ事・開発したモノをざっと整理してみました。

なお、過去3年の製作物まとめは以下です。

【まとめ】2021年ふりかえり ~家族のためのモノづくり~ - OGIMOノート ~家族のためのモノづくり~
【まとめ】2020年ふりかえり ~家族のためのモノづくり~ - OGIMOノート ~家族のためのモノづくり~
【まとめ】2019年ふりかえり ~家族のためのモノづくり~ - OGIMOノート ~家族のためのモノづくり~


★は特に思い入れ深いモノ

今年の活動概要

今年は、この3年で息子や家族向けに作り育ててきた開発品を、
 ・より実用面で使える様にリメイク
すると同時に
 ・必要としてくれる方にその方専用のカスタマイズ&依頼製作
の形での「誰かのためのモノづくり」活動にシフトしてきました。

2022年実績として、合計20件ほど家庭外へ提供させて頂きました!

その分、新規開発に関する製作頻度は減りましたが、基板製作・耐久性を考慮した外装設計など個人レベルで量産していくためのノウハウを多く得る事ができました!

何よりも提供した後のリアクション
「これ、めっちゃありがたい!」「順調に活用してます!」
という声を頂けるのが何よりも嬉しく、私にとって最高の開発エネルギー源になっています!

自分のモノづくり技術が誰か大切な人たちの役にたっているという実感が、
変わらず私のモチベーションの源です!


本業では、搬送ロボットの実用化に向け、様々な実証トライアルを繰り返してきています!
情報セキュリティの観点上、社内活動の話はできませんが、社外実証(リリース発表済)で情報公開されているものも増えてきており、その話に絡めて個人的な想いを発信させて頂いています!

本業で取り組んでいる移動ロボット技術を、体が不自由な息子や移動に困難な人達の将来の移動支援技術に繋げていきたいという個人的想いで、本業も個人活動もうまくリンクしていければと個人的に強く思っています


現地出展イベント

■キッズフェスタ2022[4月] with 東京都理学療法士 小児部


Maker Faire Tokyo 2022[9月]


■GUGEN2022 [12月]
日本最大級のハードウェアコンテスト、決勝審査会で現地展示させて頂きました。
一般からの事前応募では190件もの「欲しいね」を頂きました(全体で5位)。
ありがとうございました!


https://gugen.jp/subscriptions/work/1220


オンラインイベント

■ProtoPediaの時間[6月]


■ヒーローズリーグ2022 キックオフイベント


■ヒーローズリーグ2022 [12月]
日本最大級の開発コンテスト、昨年に引き続き参加。
CIVICTECH部門(市民課題解決) のプレゼン大会で優勝させて頂きました




メディア関連

本年は、M5Stack関連の技術書籍の執筆に参加させて頂きました。




コミュニティ活動

2020年5月~ 分身ロボット・吉藤オリィさんとそこに集まる面白い仲間達と
オンラインコミュニティ「オリィの自由研究部(オリィ部)」
に2022年も変わらず参加して活動しています。
私は副部長として参加させて頂き、各種プロジェクトや各種オンライン配信(2回/月)・モノづくり活動に参加させて頂いております。

community.camp-fire.jp


障害を持った方などの抱える身近な困りごとを解決するアイデア検討/モノづくり/体験イベントをユカイなメンバー達でワイワイと取り組んでおります。この1年は、第二の本業になるくらいに様々な活動を進めつつ、参加されているメンバーの「暖かいリアクション」に支えて頂いています。
(オリィ部プロジェクトに関連したモノのうち、外部公開されているモノは後述の開発リストに記載していきます)


①息子(肢体不自由児)向けアシスティブ機器

(1-1) ★あいさつ&じゃんけんハンド [8月]

しゃべる事ができない息子の小学校生活でのコミュニケーション用に製作したロボットハンド。
2年間使った後、今年の夏にリニューアルしました。

息子の実際の活用の様子(No Lookで操作できる程に!)

USJのマリオワールドでも大活躍でした!

本あいさつじゃんけんハンドは、息子と同じ症例を持つお子様向けの依頼製作も多く頂いており、
個人レベルで量産製作も進めています




(1-2)★ スイッチ操作で奏でる楽器演奏アーム [6月]

オリィの自由研究部で取り組んできた肢体不自由児者がハンドベル等のリアル楽器を演奏するために製作した装置。

「世界ALSデーin NAGOYA みんなでゴロンしよう」のイベントで、
現地来場者と一緒にハンドベル演奏を楽しむため、
初心者を含めた15人以上の製作メンバーで計40台以上の装置ハンドメイド量産を行いました!
youtu.be

本装置は、楽器演奏だけでなくビール注ぎなど肢体不自由児が「自分でできる事」を広げるツールに応用できそうで、
支援学校やデイサービス等の場所で活用頂いています。
現在のところ直接的な依頼に対して受注製作ですが、一般提供に向けて準備中





(1-3)★ 歩行リハビリエンタメシステム Melody Shoes [11月]

息子の歩行リハビリのモチベーションを上げるために作ってきた電子靴システム。
今回は支援学校からの製作依頼に合わせて、システムを大きくリメイクし、外部提供できるレベルまで完成度を高めました。

また、光や音だけでなく、ロボットやiPad/PCゲームとの連動機能も追加開発しました

本システムの詳細や開発への想いはこちら↓
protopedia.net

本装置は、息子向けとしては一旦役目を終えましたが、必要としてくれる人がいるならばその方に届けれる様に、開発&改良を来年以降も続けていきたいです!


(1-4)★ スイッチ&遠隔から操作できるドリンクサーブ装置 [7月]

息子にビールを注いで欲しい想いから生まれた装置

この装置は、手元の福祉スイッチだけでなく、分身ロボットOriHimeからも制御できる機能を追加しました。

本装置ですが、現在では分身ロボットカフェDAWNの研究員(常連さん向け)イベントにて
遠隔ビールサーブとして導入&活用頂いています!

息子向けに作った技術が、こうして別のところで活かされていって嬉しい限り


(1-5) 肢体不自由児も遊べるDX日輪刀アームロボット [4月]

肢体不自由の子供達も「鬼滅の刃」などの必殺技を出せる様にしたい想いで製作

キッズフェスタやMaker Faireで多くの子供達に遊んでもらった人気作



(1-6) 肢体不自由児も遊べる電動ガチャガチャ [10月]

手を使うのが苦手が子供もガチャガチャを回せる様にした想いで製作

本装置はまだ試作段階ですが、クローズドなイベントで活用。
次の展示イベントで子供達に遊んで貰える様に、他の機能も仕込み中!


② 移動ロボット/モビリティ関連

(2-1) 子供移動支援モビリティToMo-bility

昨年に開発した息子の手動車椅子の電動化モビリティ。今年は小学校内に設置させて頂き、学校の授業や運動会で活用して貰いました。


本システムの詳細や開発への想いはこちら↓
protopedia.net



(2-2) ROS対応移動ロボットベース台車

2022年前半に精力的に製作した移動ロボット。子供くらいの体重ものを積載する事が可能なアルミフレームベースの二輪独立移動ロボット。

実は5台ほど量産製作して研究開発用として利用して貰っています!
とある移動ロボットのベースや現場実験用途に活用頂きました!
来年は屋外走行可能なToMo-bilityと組み合わせた移動支援技術として大型改良予定!



(2-3) OriHime屋外移動システム [4月]

分身ロボットOriHime×子供移動支援モビリティToMo-bilityを組み合わせた屋外移動システム。
本装置を使って、遠くにいる友人らと一緒に遠隔移動実験を繰り返してきました!

・OriHimeによるお花見&公園散歩

・OriHimeによる移動販売実験

・OriHimeで砂浜走行実験

来年はToMo-bilityの進化に合わせて、こちらも大型改良を検討中!


(2-4) 遠隔操縦型 ボッチャ移動ロボット[1月]

仲間達と取り組んできたオンラインボッチャシステムの応用事例の実験の一つ。
ボッチャの投球台(ランプ)を(2-2)ロボットに搭載して、遠隔から一緒にボッチャを楽しめる仕組みを研究しました




③ 誰かのためのモノづくり

(3-1) ポータブルM5エレベータパネル ver.3[9月]

昨年に製作した入院中のお子さんのために製作した病室内で遊べるポータブルエレベータパネル。
「エレベータ好きの我が子にプレゼントしたい」との相談を頂き、更に追加機能を加えてカスタマイズして提供しました!



(3-2) オンラインボッチャ装置 (ver.4)[9月]

2020年オリィ部から始まり、仲間達と一緒に作り育ててきたオンラインボッチャ。
(一社)オンラインボッチャ協会 – 楽しいを、あきらめない

今年はなんと、全国の支援学校を巻き込んだ業界初の全国大会(企業スポンサー)が開催されました!


本製作装置が公式機体として約1か月に及ぶ大会に使って貰い、子供達による熱い戦いをサポートさせて貰いました!

また、病院に入院している子供達に使ってもらう取り組みも進めてきました。

本装置も少しずつ台数を増やして、埼玉・兵庫・大阪で稼働中。

どんどんと広がってきているオンラインボッチャ。

遊んでくれる子供達のためにも、装置の提供/開発活動を続けていければと思います!



本業(搬送ロボット開発)

東京丸の内でのビル内外ロボット配送実証[2月]
ロボットが弁当やドリンクを宅配。三菱地所が目指す「ロボットフレンドリーなまち」 - PC Watch

日本初の完全遠隔監視・操作型の公道走行許可[4月]



つくば市でのスーパー配送サービス [4月]


搬送ロボット「ハコボ」によるビール販売 [7月]




搬送ロボット「ハコボ」による移動販売@東京・丸の内 [12月]



こうしてエンドユーザーに触れてもらえる機会の多くに立ち会う事ができて、とても充実していました!


 


終わりに

いつもの事ながら、製作物の紹介がかなりの長文になってしまいました。

今年は、我が子のために開発してきた技術を使い「誰かのため」にアウトプットしていく活動を広げる事ができたなぁ、と思います。
必要としてくれる人のために、来年も提供していく形を続けていきたいと思っています!
一方で、小学生の折り返しを迎える我が子向けのデバイス開発にも注力したいと思っているので、
その両立の仕方も課題になってきそですね。

また、本業についてもエンドユーザーに触れてもらえる機会が多くあった年だったと思います。
個人的に、直接的な福祉分野とは少し違う領域から切り込み、長期観点で「息子の様に移動が困難な人たちの世界を広げる」可能性を作りたい、と取り組んできました!
その代わり、超直接的な困り事解決は、個人でやってしまおうというスタンスです


本業でも
個人モノづくりでも
友人らとのモノづくりでも
自分の想いは変わらず

息子や家族、障害を抱える誰かの日常に役に立てるモノを作りたい

いつの日か、
これらの取り組みがすべて交差しながら
やりたかった事にすべて繋がっていく事を信じて、
来年も頑張っていきたいと思います!

いつもfacebookTwitter、リアルやオンラインで、様々な暖かいコメントやリアクションをありがとうございます!
ワタシや私たち家族もたくさん支えられています!

本当にありがとうございました!
来年もよろしくお願いいたします!