OGIMOノート~家族のためのモノづくり~

OGIMOテックノート ~家族のためのモノづくり~

重度障害の息子を持つ父親エンジニアの備忘録。自作の電子工作おもちゃ/リハビリ器具/ロボット関係の製作記録、思った事を残していきます

【かんたん工作】100均グッツで可愛く光る意思伝達スイッチを作ってみた

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はじめに

障害を持った子供達が
自分の意志を表現・伝達するための手段である「スイッチ」

www.rehab.go.jp

「電気を流す/流さないを切り替える」という電気工学観点だけではすごくシンプルなのですが、
「人の意思を表現する手段」として人間工学観点でのスイッチは実際には非常に奥が深く、
特に障害を持つ方にとっては
「どうやったら自分の力で上手に押せるのか」
その人の障害の特性に応じた個別カスタマイズノウハウが重要です。

しかし、個別カスタマイズになったり、個人一品モノになるとどうしても高価になる。
実際に、福祉スイッチで有名なパシフィックサプライさんのスイッチ等は、1個で1万円近くします。

www.p-supply.co.jp

どうしても数が出ないモノは高くなる。ハード作りをした人なら良く分かる感覚ですね。

そこで一品モノであるならば、身近にあるモノを使って、簡単なスイッチを作ってみようという取り組みに今回チャレンジしてみました。
作業療法士さんの世界では当たり前に行われている取り組みかもしれませんが)

コンセプトは、
 ・100均ショップに売っているモノを使い
 ・子供達が喜んで触りたくなる様な遊び心も加えて
 ・工作初心者でも作れるシンプルさ

を目指してみたいと思います。

完成品

100均グッツ+電子部品のみで製作したスイッチ。動画はこちら。

勉強も兼ねて、初めてのスイッチ作りとして以下の3パタンを作りました。
①押すとキティちゃんのほっぺが光るスイッチ
②押すとボタン全体が光るスイッチ
③くまさん型コンパクトスイッチ

上記動画では、ロボットを前進させる意志表現として紹介しましたが、他にもゲームコントロール機器や車椅子操作ボタン、音声選択など
様々な機器の動作スイッチとして使用できます。


ちなみに、福祉業界では、「3.5mmモノラルジャック」をI/Fにしたスイッチが一般的です。
確かに、それだと部品入手も簡単(100均ショップでも購入可)というのが特徴
どうしても一品対応になり、市販品がそのまま適用しずらい福祉機器ならではの工夫ですね。
(私が初めてスイッチを知った時、その創意工夫アイデアに「なるほど!」と感心しました)

①ほっぺが光るキティちゃんスイッチ

購入部品

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部品名 個数 購入先 値段
キティちゃんイヤホンケース 1 キャンドゥ/ダイソー ¥100
タクトスイッチ(大) 1 秋月電子 ¥300(10個)
3.5mmジャック+基板 1 秋月電子 ¥150
3.5mmステレオ(オス-オス)ケーブル 1 秋月電子 or ダイソー ¥150
赤色LED 2 秋月電子 ¥20
フォトカプラ 1 秋月電子 ¥130
薄両面ユニバーサル基板 1 秋月電子 ¥100
CR2032用電池ホルダー 1 秋月電子 ¥50
CR2032用電池 1 秋月電子 ¥200(5個)

配線は上記リストから省略してますが、
耐熱電子ワイヤー 2m×7色 外径1.22mm(UL3265 AWG24): パーツ一般 秋月電子通商-電子部品・ネット通販
ポリウレタン銅線(0.29mm 20m): パーツ一般 秋月電子通商-電子部品・ネット通販
辺りを良く使っています。

ちなみに、「3.5mmジャック+基板」ははんだ付け苦手な人が3.5mmジャック(オス)のケーブルを接続させるための工夫です。
(秋月限定の変換基板)

はんだ付け経験者であれば、「3.5mmステレオ(オス-オス)ケーブル」の片側をカットして配線を剥いて、本体基板に直接取り付けるやり方でもOKです。

製作イメージ(回路図)

以下が回路図イメージになります。
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「フォトカプラ(=フォトリレー)」が本スイッチ回路の肝になっています。
「左側の1Pin→2Pinに電流が通過したら、3Pin-4Pin間のスイッチをONにする」というシンプル技術です。
1-2Pin側と3-4Pin側は電気的には分離しているので、汎用的なメカスイッチと同じイメージで考えられます。

なお、本来は赤色LEDには電流制限用の抵抗を入れるのですが、今回は3V電池(CR2032)を使っていて電圧がギリギリのため、抵抗なしとしました。
(もし3V以上の電池を使うならば、抵抗は入れた方がよいですね)

製作方法(簡易)

写真をベースに製作のポイントを記載したいと思います。
(本当はもっと詳細に記載した方が分かりやすいのですが、手順書を作るのが苦手なので…)

ダイソーで購入したイヤホンジャックのフタのひっかけ部をニッパーで切って、開閉しやすくします。
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・また、3.5mmジャック配線が通る様にケース上面に穴を開けてください
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・上の回路図に従って、基板上に部品を半田付け&配線していきます。ちょうどキティちゃんのホッペ位置にLEDを微調整するため、LEDは基板に密着させず、少し間を開けてください。
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・スイッチづくりの一番のポイントであるクリック感。
ホットボンドを使って、ふた上面にボンドの山を作り、タクトスイッチとちょうど接地する様に調整してください。
ケースの蓋が閉まるところで、ちょうどタクトスイッチをクリックできる高さがベストです。
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②ボタンを押すと全体が光るスイッチ

購入部品
部品名 個数 購入先 値段
LEDライト 1 ダイソー ¥100
タクトスイッチ(大) 1 秋月電子 ¥300(10個)
3.5mmジャック+基板 1 秋月電子 ¥150
3.5mmステレオ(オス-オス)ケーブル 1 秋月電子 or ダイソー ¥150
赤色LED 3 秋月電子 ¥20
抵抗510Ω 3 秋月電子 ¥100(100個)
フォトカプラ 1 秋月電子 ¥130
薄両面ユニバーサル基板 1 秋月電子 ¥100
単三電池 3 秋月電子 ¥200(5個)

基本的には、「①キティちゃんスイッチ」と同じです。ただし、本スイッチはLEDライト自体に、「単三電池×4」ケースが付いているので、
そちらの構造をそのまま利用したいと思います。

製作イメージ(回路図)

以下が回路図イメージになります。

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「①キティちゃんスイッチ」と原理は全く同じです。ただし、このスイッチでは、赤色で光らせるのは点ではなく面にしたいため、
LED個数を3個に増やしたことと、単三電池×4=6.0Vと電圧を上げたため、LED手前に電流制限抵抗510Ωを追加しました。

※赤色LEDで2.1Vドロップするので、(6V-2.1V)/510Ω=約10mAくらいのLED光量を狙ってます

製作方法(簡易)

ダイソーで買ってきたLEDライトの中のフタを開け、中身の回路基板をすべて廃棄します。
 また、3.5mmジャック配線が通る様にケース上面に穴を開けてください
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・上の回路図に従って、基板上に部品を半田付け&配線していきます。LEDは光が分散する様に、中央から120度ずつ外辺に向けて設置します。
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・スイッチづくりの一番のポイントであるクリック感。
ホットボンドを使って、タクトスイッチの高さを調整します。フタ側には特にホットボンドによる加工は行わず、スイッチ土台側をホットボンドで持ち上げる事で高さ調整を行います。
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③くまさん型コンパクトスイッチ

購入部品
部品名 個数 購入先 値段
くまさん型シャワーカバー 1 セリア ¥100
ゲームスイッチ 1 秋月電子 ¥150
3.5mmステレオ(オス-オス)ケーブル 1 秋月電子 or ダイソー ¥150
製作方法(簡易)

製作方法はいたって簡単!
ゲームセンター等で使われているゲームスイッチボタンに、3.5mmステレオケーブルをカットした配線をはんだ付け。
その後に、くまさん型シャワーカバーをスイッチにはめるだけ(笑)

終わりに

3種類ほど簡単な100均グッツを使ったスイッチを試作してみました。
いずれもタクトスイッチをベースに、指の力が少しでもある子を前提にしたスイッチを作りました。

もちろんこれ以外にも、例えば 触っただけで反応する「静電スイッチ」や「棒スイッチ」、「振動検知スイッチ」など、いろんなバリエーション製作の可能性もありそうです。

最近では、作業療法士の方々との交流も増えてきたので、様々な事例を勉強させて頂きつつ、有意義なスイッチ機器も自作検討してみたいと思います。

Blynk(Bridge機能)で、宅外~宅内のM5Stack間で呼び出しシステムを作ってみた

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製作動機

我が家のリビングに設置された「予定通知ロボット」

M5Stackに加えてBlynkというアプリで連携すれば、スマホからリビングにある通知ロボット(M5Stack)との情報連携が簡単にできます。しかし、欠点としては、「常にスマホが必要となる事」です。

例えば、子供にスマホを奪われている時であったり、自分以外の人に操作してもらう場合などでスマホを渡せない状況もあったりします。

それが特に露見したのは、2019/5に参加したMaker Faire Kyoto でした。
この時は、もともと展示説明員として当てにしていた妻が、なんと足の骨を折ってしまい、外出そのものが困難になってしまいました。

私一人で2日間、ブースを回せる自信がなかったため、ちょうど我が家で使っていた分身ロボットOriHimeを駆使して、
妻に自宅から遠隔説明員として参加してもらう事でヘルプに入って貰いました。

ogimotokin.hatenablog.com


しかし、ここにきて課題なのは、会場から妻への簡易的な連絡手段
OriHimeは自宅のタブレットから映像/音声で通信するイメージなのですが、
朝から夕方まで常にタブレットを見続ける事は出来ないので、
用事のある時やブースにお客さんが来た時に応対してもらう様にしました。

そんなガヤガヤした会場から自宅へ簡単に呼び出し通知を行う仕組みが必要でした。
(OriHimeからの呼びかけだとガヤガヤ音等でかき消される事もあったので)

Blynkを使ってスマホアプリ上に呼び出しボタンを作ろうとしたけど、さすがに自分のスマホを公共の場に置きっぱなしにできないなぁ、と悩んでいたら…

Blynkにデバイスブリッジ機能がある事Blynkにデバイスブリッジ機能がある事Blynkにデバイスブリッジ機能がある事を見つけました!
これを使えば、会場のM5Stackから、自宅リビングにあるM5Stack間へ呼び出し通知が出来る

と思い、製作に取り掛かりました。

完成動画

OriHimeに搭載したM5Stackからの自宅リビングにあるM5Stackへ通知

実験的には同じ室内ですが、当然ながらOriHime+M5Stackを宅外に持っていっても同様に、
宅内のM5Stackに通知ができます

ブロック構成

本システムの簡易ブロック図は以下です。

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すごくシンプルなんです!
それぞれのM5Stackが WIfiを介して外部ネットワークと繋がる環境であれば、Blynkサーバーを介して情報を伝送してくれるイメージです!

しかし、Blynk内のプロジェクトは「1プロジェクト1デバイス」の様で、2つのデバイスをBlynk上で連携させるにはもう一工夫必要。

そこで活躍するのが「Bridgeウィジット」です。
このウィジェットはどうやら「プロジェクト間の通信をBridgeする」イメージの様ですので、2つのデバイス用に割り当てたBlynkプロジェクト間を本ウィジェットで繋げてやります!

ソフトウェア(

前文でも書いた通り、2つのプロジェクトを作成します。
今回は『 auth_orihime(ロボット側)』 と 『 auth_living (リビング設置側)』の2種類を用意しています。

Blynkアプリ設定

プロジェクト間での通信をしたい側にBridgeウィジェットを配置します。
今回は、auth_orihimeからの一方向通信のため、auth_orihime側にBridgeウィジェットを置きます。

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画面上に置くだけで特にアプリ上からは設定不要です。(auth_living側は特にアプリでの設定不要)

送信側(OriHime呼び出し側) Arduinoコード

ロボット側のコードは、
「M5Stackのボタンが押されたらauth_livingプロジェクトのV3ピンをHに上げる」
内容になります。

#include <M5Stack.h>
#include <WiFi.h>
#include <WiFiClient.h>
#include "time.h"
#include <BlynkSimpleEsp32.h>
#define BLYNK_PRINT Serial

// Audio speaker
#include "AudioFileSourceSD.h"
#include "AudioFileSourceID3.h"
#include "AudioOutputI2S.h"
#include "AudioGeneratorWAV.h"
AudioGeneratorWAV *wav;
AudioFileSourceSD *file;
AudioOutputI2S *out;
AudioFileSourceID3 *id3;

const char* auth_orihime   = "7xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx"; //OriHime側(call側)Blynkアプリ Auth コード
const char* auth_living   = "4xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx"; //リビング側(receive側) Auth コード
const char* ssid     = "xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx";   //ポケットWifi等のSSID
const char* password = "xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx";  // ポケットWIfi等のSSIDパスワード

// Bridge widget on virtual pin 0
WidgetBridge bridge1(V0);   // OriHime側BlynkアプリのV0を使用

void setup() 
{
  M5.begin();
  Serial.begin(115200);

  // M5Stackによる名札機能
  M5.Lcd.fillScreen(BLACK);
  M5.Lcd.drawJpgFile(SD, "/okan.jpg");

  // M5Stackによるスピーカ再生機能設定
  out = new AudioOutputI2S(0,1); 
  out->SetOutputModeMono(true);
  out->SetGain(0.8); 
  wav = new AudioGeneratorWAV();

  // Blink起動
  Blynk.begin(auth_orihime, ssid, password );  // OriHime側Blynkサーバーと通信
}

int nafuda_num = 0;
bool display_flag = 0;

int orihime_num = 0;

void loop() {
    // Blynk更新
   Blynk.run();

   M5.update();

   if(M5.BtnB.wasPressed()){  

         M5.Lcd.drawJpgFile(SD, "/call_real.jpg");
         Serial.println("本体を呼び出し中");

         //本体呼び出し音を再生
         file = new AudioFileSourceSD("/call_real.wav");
         wav = new AudioGeneratorWAV(); 
         wav->begin(file, out);
         while(wav->isRunning()){
           if (!wav->loop()) wav->stop();
         }

         // リビング
         bridge1.virtualWrite(3, HIGH);   //リビング側(receive側) のV3ピンをHに
         Serial.printf("V3 : H");
         delay(1000);

         bridge1.virtualWrite(3, LOW);  //リビング側(receive側) のV3ピンをLに
         Serial.printf("V3 : L");
         delay(5000);
         display_flag = 1;
   }
}

BLYNK_CONNECTED() {
 bridge1.setAuthToken(auth_living);  // リビング側Blynkサーバーと通信
}
受信側(リビング通知側) Arduinoコード

リビング側のコードは、
『V3ピンがHighに上がったらお知らせ映像&音声を再生する』
だけのコードを実装します。

#include <M5Stack.h>
#include <WiFi.h>
#include <WiFiClient.h>
#include <HTTPClient.h>
#include "time.h"

// Audio speaker
#include "AudioFileSourceSD.h"
#include "AudioFileSourceID3.h"
#include "AudioOutputI2S.h"
#include "AudioGeneratorWAV.h"
AudioGeneratorWAV *wav;
AudioFileSourceSD *file;
AudioOutputI2S *out;
AudioFileSourceID3 *id3;

#include <BlynkSimpleEsp32.h>
#define BLYNK_PRINT Serial
const char* auth_living   = "4xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx"; //リビング側(receive側) Auth コード
const char* ssid     = "xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx";   //自宅Wifi等のSSID
const char* password = "xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx";  // 自宅WIfi等のSSIDパスワード

void setup(){
  M5.begin();
  Serial.begin(115200);
  delay(10);

  // WiFi設定
  Serial.print("Connecting to ");
  Serial.println(ssid);

  WiFi.begin(ssid, password);
  while (WiFi.status() != WL_CONNECTED) {
    delay(500);
    Serial.print(".");
  }

  //WAVの場合
  out = new AudioOutputI2S(0,1); 
  out->SetOutputModeMono(true);
  out->SetGain(0.8); 
  wav = new AudioGeneratorWAV(); 

  // Blink起動
  Blynk.begin(auth_living, ssid, password );
}


void loop(){

    // Blynk更新
    Blynk.run();
}

// BLYNKサーバーからお父さん呼び出し通知(v3)を受けた場合
BLYNK_WRITE(V3){
  int val = param[0].asInt();

  if(val == 1){
    display_information("calll_orihime");

  delay(3000);
  view_change = 1;
  }
}

void display_information(String str){
  M5.Lcd.drawJpgFile(SD, String("/" + str + ".jpg").c_str());
  file = new AudioFileSourceSD(String("/" + str + ".wav").c_str()); 
  wav = new AudioGeneratorWAV(); 
  wav->begin(file, out);
  while(wav->isRunning()){
         if (!wav->loop()) wav->stop();
  }
}

最後に

Blynkは無料ながらも簡単にクラウド経由で宅外通信が出来るのが魅力です。
そして、今回のBridgeウィジェットでデバイス間の宅外通信が出来るなら、
例えば、実家↔自宅の簡易通信(ライフログ確認)などを簡易マイコンのみの低コストで実現できるのはとても魅力です。

また、OriHime等の遠隔コミュニケーションロボットの外付けオプション機器としてうまく使っていけそうです。

最近では Obniz OSという新たなクラウド開発ツールもでてきたので、こことの使い勝手比較もやっていきたいですね。

息子向けポータブルモリビリティを改造してみた③ (速度可変+音声イルミ対応)

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製作動機

元の製作動機自体は、以前の記事を参照頂ければ、と思います。

ogimotokin.hatenablog.com


歩けない息子の足の代わりの移動手段としての電動機器
その操作練習を早めに始めるための機体として購入した子供用電動移動機器「Mottoy」

操作コントローラの課題については、前回記事の通り対応してジョイスティック等の各種コントローラで操作できる様にしました。
しかし、それでも息子はずっと怖がっていてなかなか練習が進みませんでした。

よく観察してみたところ、原因の一つは、
「突然動き出す等、移動速度が速すぎて怖がってる」
という事でした。

普段のおもちゃでは激しいのが好きなのですが、自分が動くモノについてはまだ不慣れな事もあり、激しい動きに過敏に反応してしまい、そこから拒否反応に繋がっている様です。

その拒否反応を何とか取り除きたいと思い、
今回の開発目標は
「Mottoyの移動速度を遅く変更すること(可変させること)」
を目指します。
それに加えて、
「乗ってて楽しくなる様なまるで遊園地の様な楽しい乗り物化」
も目指します。

完成品

速度可変した時のMottoyはこちら


更に 様々なコントローラ(電車でGoコントローラ/ Nintendo Laboバイク/ジョイコン)などにも対応させてみて、息子が好きそうなコントローラを模索してみます。


そして、息子に使って貰った様子はこちら


改造概要

先に言っておくと……
最終的には外装とモーター以外は全改造になってしまいました(笑)

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元々は、前回記事で製作したハードウェア回路を元に、Mottoyマイコンに繋がっている4本の制御信号(右モータ前 / 右モーター後 / 左モータ前 / 左モータ後ろ)を別マイコンからPWM制御する事で速度変更する構想でした。

しかし、、

Mottoy制御ユニットにPWM入力
→ うまく動かん。制御ユニットの仕様が不明

Mottoyマイコン変更、専用2chモータドライバに置き換え
→ うまく動かん。Mottoy搭載バッテリの電圧不足?

バッテリー変更(ラジコン用Ni-MH電池/7.4V)
→ 無事に動いた!

更に、Mottoy制御マイコンをなくした事で、Mottoyの元機能にあったイルミネーション、音声再生がなくなってしまったため、ハック用のESP32マイコンで制御可能なMP3モジュール/イルミネーションLEDを接続しました。

その結果、Mottoyの中身は完全に入れ変わってしましました。

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ソフトウェア

基本的には、以下の記事で記載したソフトウェアと同構成です。(細かいところは異なりますので、後日Githubに上げる予定)

ogimotokin.hatenablog.com


課題

一番悩んだのは、「モーター動作中のマイコン電源ノイズによるリセット」です。

特にモーターに負荷が掛かった際に突然ESP32マイコンがハングするという現象が多発しました。
オシロスコープで確認したところ、ESP32モジュールの5V電源がモーター負荷時に4V以下まで電圧降下するという現象が観測されました。電源ノイズを緩和するため、

 ・5V電源にバイパスコンデンサー追加(4700uFまで追加)
 ・モーター信号ラインにトロイダルコイル追加(470uHを追加)

をトライしてみましたが、現象は改善せず。。。

うーん、対策方法が分からない。。。なんでだ。。。

という訳で、暫定対策として、
マイコンボードにUSBバッテリーを接続し補助電源として使用」を導入しました。


※ 誰か詳しい方、改善方法についてご教示ください!(涙)


終わりに

今回、Mottoyの速度を遅くした効果からか、息子が怖がる様子が減ってきて、ようやく電動乗り物を受け入れてくれる様になりました!
ただ、やはりMottoyで残った課題は「シーティング(座位固定)」ですね。息子の様に単独で座れない子供にはもう一工夫いりそうです。
こちらの解決策としては、Mottoy専用の座位固定シートを開発 or 購入する事で解決できないか、と思います。


この様な「Mottoyの座位保持開発」と並行して、「座位保持可能な専用シート自体を乗せる電動台車を作る」という取り組みも進めていきたいと思います。

【メディア掲載】 歩けない息子のために「発明」を続ける父の想い (2019/9/18 デイリーポータルZ 掲載分)


障害を持った息子や家族のための個人メイカー活動をデイリーポータルZ様に取材頂き、2019/9/18に同サイトで掲載頂きました。

当事者目線×試行錯誤×ひと笑い

モノづくりにかける私の想いを等身大で存分に表現頂いており、また一笑いを加えた発明品の数々も紹介頂いております。

私の自己紹介として、ご一読頂ければありがたいです。

dailyportalz.jp






なお、本記事に記載されている発明品の一部は弊ブログに製作過程等を載せていますので、
ご興味のある方はリンクから参照頂ければ嬉しいです。

■車椅子をワクワク新幹線に変える自作モジュール
ogimotokin.hatenablog.com


■電動カートMottoy改造
ogimotokin.hatenablog.com
★本サイトで記載のある第二段の製作過程は現在執筆中


■車椅子を乗せる自作電動台車の製作
★現在執筆中


■息子の歩行リハビリ用光るメロディ靴
ogimotokin.hatenablog.com
ogimotokin.hatenablog.com
ogimotokin.hatenablog.com


■ボタンを押すと暴走するニャンニャン
ogimotokin.hatenablog.com


朝顔水やりロボット
ogimotokin.hatenablog.com



■息子の背中を伸ばす電子工作ピタゴラ装置
ogimotokin.hatenablog.com



■ワンボタンで出来るじゃんけん義手
★現在執筆中

【かんたん工作】 おもちゃ改造してワンワンぬいぐるみを暴走させてみた

本記事で伝えたいこと:大事なのは技術力じゃなくて「解決したい課題」に対する着眼力・アイディア力
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製作動機

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知的にも遅れのある息子氏。4歳を過ぎても周囲に対して鈍感で、何もせずぼーっとしている様な印象でした。

子供にとって好奇心こそ重要!
好奇心があってこそ、子供の成長は一気に加速する!

そう考えた我々両親は息子の好奇心をこじ開けるため、お気に入りのオモチャを探しまくってました。
そんな中、ようやく好みのおもちゃが見つかってきたのですが…
特に触りにいく事もなく、ただ見ているだけ…

息子に限らず重度障碍を抱えた子供は、ハンデがあり自分で体をうまく動かせないが故に人に介助してもらう機会が多いため、どうしても受け身がちになってしまう
やはり、そこから次の世界へ進み、
自分の意志を出していくきっかけを親として作っていきたい!

そんな試行錯誤の中で、
「息子が手を出すきっかけを作ってみよう!」
という取り組みで、息子のお気に入りの「ワンワン鳴くぬいぐるみおもちゃ」を改造してみました。

ベースはこのおもちゃシリーズ

あかちゃんシリーズ ビーグル ぬいぐるみ

あかちゃんシリーズ ビーグル ぬいぐるみ

  • メディア: おもちゃ&ホビー



[改造ポイント]
・ボタンを押した時だけワンワン鳴く
→ 「ボタンを押す」という自分のアクションで、動きが変わるという体験を楽しんで学んでもらう
・ただ動くのではなく激しく動く
→ 子供は「静」と「動」の変化が激しいほどウケる傾向があるので、これをもっと明確にしたら鈍感な息子でも反応するかも


物理スイッチを通して、本人のやる気スイッチを引き出す!

これを目指して取り組みました!



完成品

ボタンを押すと高速で動きだすワンワンおもちゃが出来ました!
普段の150%~200%の元気さで叫びます!


ちなみに、ワンワンぬいぐるみだけでなく、ニャンニャンぬいぐるみ等への応用も可能です。


息子の反応もものすごく良好で、1年経った今でも一番のお気に入りオモチャとしてずっと使ってくれています。
また、気軽に持っていけるので、療育園でお友達と一緒に遊んだりもあるし、展示会で出展しても非常に人気な改造おもちゃになりました。

製作方法

まず、「どうやってワンワンを激しく動かしたか?」と疑問に思う方も多いですが、仕組みは簡単です!

単三電池2個で動くおもちゃを
単三電池4個に増やしただけ
です


この発想は、一度ワンワンぬいぐるみを分解した時にひらめきました。

まさかのマイコンなしで、モーター1つで3つのアクションを切り替えるという神設計でした。
そこで分解して気付いたのは
「ん?モーター一つだけという事は……電圧を上げるだけで簡単に速度上がるやん」
という事でした。

※注意
今回は分解の結果、該当おもちゃがマイコンICを使わず、モーターのみを使用していた事が判明したため、上記の様に電池を増やすアイデアが適用できました。
万が一マイコンICが付いているおもちゃの電池を増やしてしまうと、最悪の場合 マイコンICが壊れてしまいますので、ご注意ください。

製作詳細

改造前後の製作図は以下です。

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部品名 個数 購入先
あかちゃんシリーズ ワンワンぬいぐるみ 1 Amazon
押しボタンスイッチ(モーメンタリ)赤 1 Marutsu
ケース(プラスチック製タッパ) 1 ダイソー
ELPA スイッチ&カバー付電池ボックス単3形*2本 UM-SC32NH 2 Amazon


以下は各部分の加工写真です。


・スイッチ端子に半田付けで配線を接着します
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・ボックスの構成。灰色線の中に2本配線が入っており、
 片側(線A)をスイッチへ、片側(線B)を電池ボックスの黒線に繋げています。
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・半田付けした場所は、絶縁テープなどでグルグル巻きします。
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・ぬいぐるみは、電池用のフタを開けて、おしりの方の単三電池プラス端子を線A、単三電池マイナス端子を線Bで半田付けします。
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・端子は面積が大きくて半田が溶けにくいので、はんだごてでじっくり熱を与えて、先に端子上にはんだの山を作るとやりやすいです!
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終わりに

本記事で書いた内容は、電気技術者にとってはすごく簡単な内容ですし、技術的にはなんら難しくはありません。だからこそ、初心者の方でも
「これなら、自分でも作れるかも」
「自分の子供にも作ってあげよう!」

と思えて、モノづくりの最初の一歩に繋がればいいなぁ、
と実験的に書いてみました。

…とはいえ、半田ごてを使ってる時点で初心者にはハードル高いかもしれないなぁ、と気付いてしまい、
そこは反省です。。。

技術者って、ついつい『高度な技術を使ってる方が価値がある』と手段前提の発想
になりがちなんですよね。
私自身もその発想に陥る事もありますし、実際にそれが勉強や研修目的であるならば非常に有効だと思います。


しかし、実際に誰かのためのモノを作る事を考えた時には
高度な技術が不要な事も多いし、
何より短期間で価値(本当に喜んでもらえるか)を確認する事が大事!

なので、
解決したい課題にダイレクトにつながりつつ
技術難度が低く、シンプルに、誰でも簡単に作れるモノ

もまた、非常に価値になると思います!

それに気付かせてくれた「暴走ワンワンおもちゃ」

是非とも一度作ってみてください!(^^)!

単身赴任の寂しさ解消!? 分身ロボットによる遠隔家族団らんチャレンジ

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私自身の活動テーマである「家族のためのモノづくり」

その一環として、昨年11月より使用させて頂いております
分身ロボットOriHimeの活用事例
について、OriHimeの製作元である
オリィ研究所 | オリィ研究所。株式会社オリィ研究所はOriHime-分身ロボットを開発・提供しています。様の公式ブログに執筆させて頂きましたので、
本ブログでも紹介!

・私の簡単な自己紹介 (「家族のためのモノづくり」に至った経緯)
・分身ロボットを使う事になったきっかけ
・活用事例①
 単身赴任生活において分身ロボットを活用した遠隔団欒は成立するか?

について、昨年11月での取り組みを記載しました。
今後、分身ロボットの我が家での活用事例について公式ブログ様で紹介させて頂ければ、と思います。


avatarworld.info


Twitter等で「家族のためのモノづくり」としての活動を発信し続けていった中で繋がった分身ロボットとのご縁、
大変ありがたいです!

車椅子を「ワクワク新幹線」に変える M5Stack×スピーカ×イルミモジュール製作

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はじめに

私は、障害を持った息子や家族が、日々楽しく過ごしていくためのサポートとして電子機器やおもちゃ等の「家族のためのモノづくり」として活動しています。そんな自分が製作していたものをtwitter等のSNSに発信し続けていたところ、
世界ゆるスポーツ協会 澤田 智洋さんより
「特別支援学校をもっと面白くするプロジェクトを一緒にやりませんか?」
とお声がけ頂き、
『特別支援学校の特別おもしろ祭り』
にスタッフ側として参加させて頂く事になりました!!

特別支援学校の特別おもしろ祭り

8/18 東京・府中市にある支援学校・けやきの森学園 で開催された
『特別支援学校の特別おもしろお祭り』

普通の学校の夏祭りではなく、
未来を感じるワクワクする技術・コンテンツをたくさん結集して特別支援学校の新たな可能性を提示するという超クリエイティブなイベント!   
特別おもしろい『スポーツ』『食』『音楽』『ファッション』『イタズラ』『仕事』『トイレ』『乗り物』『ディスコ』の合計9個のブース。
協賛4団体、協力15団体、
スタッフ150人以上、お客さん400名というすごい規模!

テレビのニュースでも取り上げられてました!
www.news24.jp


私の製作物に関して

きっかけ

今回私が担当させて頂いたのが、「特別面白い乗り物」ブース
その担当メンバーで議論したところ、
 「電車好きな多様な男子たちが多く参加する事が予想されるため
  普段の自分の車椅子をワクワクする様な電車にしてみたい」

という

『ウィルチェア・トレイン
 (Wheelchair Train)』

の構想が持ち上がりました。

「普通の乗り物に移乗困難なな子供でも楽しめ、
 普段の自分の車椅子が一日限りのワクワク乗り物に変身!」

のコンセプトが気に入り、夏休み期間を最大限使って製作に没頭しました!


[要求仕様]
 ・何よりも電車感がある事(見た目や音など)
 ・普段の車椅子・バギーに装着&脱着する事が容易である事
 ・指定コースを走行する想定で、発車時・停車時にアナウンスが欲しい。
  また、行中にモードが切り替わる事 (走っているとドンドン変化していく)
  ただし、車椅子などの制御情報(操作ボタンやタイヤエンコーダ)は使えない前提。
  (どんな車椅子が来るか分からないため)
 ・当日のお手伝いスタッフ(技術知識なし)でもお手軽に操作できる

完成品

当日はドクターイエロー版」「新幹線はやぶさ版」の二種類を作成しました。

はやぶさ版を歩行器(非電動)に取り付けた動画がこちら。


本番ではたくさんの子供たちの車椅子に取り付けて、コースを走行して楽しんで貰いました!
好きすぎた子供は、乗り物にすら乗らず新幹線部分を手持ちで楽しんでくれてました(笑)

手動バギーや手動車いすについては、株式会社るーと様(https://root-ca.jp/)が持ってこられた簡易電動ユニット CarryLoco 及び その子供の症例に合わせた操作スイッチ を使い、「子供たちが自分の意志で操作する体験」をサポートされていました!

特に電車好きの子供達が自分の作ったモジュールを使い、楽しそうにコースを走ってる姿を見て、すごく胸熱く感じました!
作って良かったー!  

上記動画をTwitter上に投稿したところ、かなり拡散されて、気が付けば 2019/8/31 21:00時点で動画再生回数 3.5万回、いいね2000回以上、たくさんの人に興味を持ってもらい暖かいコメントを頂けたのがとにかく嬉しいですね。

みんなで、子ども達の笑顔、そしてやってみたいという気持ちをを引っ張り出す
暖かい世界だなぁ~

概要仕様

本番コースでの走行を想定して、以下のシナリオでの運用を想定しました。
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[手順]
・子供の車椅子にモジュールを装着
・コーススタート位置でボタンを押すと「発車アナウンス」が流れる
・ ボタンを押して「ドアを閉める」操作をする
・ 車椅子を前に走らせると「発車音」が流れる
・ 走行中のコース途中で表示変更
・ ゴールが近づくと「停車音」が流れる
・ 車椅子を停止させると「終了アナウンス」が流れる

ハードウェア

今回のコンセプトは、「普段の車椅子に簡単に脱着可能である事」です。なので、制御部や走行状態センシングはモジュール内で完結させる必要があります。更に、当日は大勢の人に取り付ける必要があり、操作の簡易さ/起動の速さ/安定性を加味した結果、マイコンを使ったシステムに決めました。
いつもお馴染み「M5Stack」を中心とした制御モジュールで進めます。


システム構成図になります。
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M5Stack Grayを使い、全体的な制御 及び 内蔵加速度センサを使っての走行状態センシングをおこないます。また、液晶に電車コクピット映像を映して気分を高めます!

アナウンス音については、M5Stackのスピーカではボリューム不足 かつ 他操作の影響を排除してキレイな音声再生を安定再生させるためDF Player miniモジュール+8Wスピーカを別回路で用意しました。NeoPixel LEDテープはおなじみで、今回は144個/mの密度の高いモノを使い、LEDグラデーションを表現しました。また、長時間の使用に耐えるために、モバイルバッテリーを使用します。NeoPixel LEDテープは非常に大きな電流(2A以上)を流すため、2.4A出力のモノを使いました。

完成したモジュールは以下です。すべてを簡単に持ち運べる様に3Dプリンタで制御部分の外装を作りました。



新幹線の筐体ですが、柔軟に取り付け・取り外しが可能な様に、段ボールタイプを使用しました。

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こちらの市販品を購入 & 組み立てして、背面部に荷物運搬用のロープ&マジックテープを取り付けました。車椅子へは背面でくくりつける形で固定します。なお、モジュールは新幹線の上に配置しました。

ソフトウェア

走行検出/モード切替について

今回の一番の悩みは、走行中でのモード切替方法。
せっかくなので「自分が動いた事によって動作が変わったんだという達成感」を持って欲しかったので、
一定時間でモード自動遷移する案は保留。

カメラやタイヤエンコーダ情報を使ってオドメトリを取得し自己位置認識を行い、一定場所に到着したらモードが切り替わる、という案も検討しましたが、残念ながら本番当日までコース試走が困難であったため、安定性を優先してこの案も保留。


という事で、ここはシンプルに
・走行開始有無はモジュールの加速度センサで検出
・モード切替はジャイロセンサからのYAW角情報をもとに、スタート時点からの回転方向の変化(例えば90度曲がった場合)に行う
・ゴール到達は、ボタン長押しで手動表示 (次回以降の課題)

 
としました。
※次回は、ライントレース等によるコース認識や、Jetson Nano等を使った自己SLAMにもトライしてみてみたい!

発進検出

M5Stack内部の加速度センサーの値を取得しました。
モジュールの取り付け方法が相手の車椅子に応じて異なる事が予想されたため、
 ・X,Y,Zどの方向に対しても一定以上の閾値を一定期間(800ms以上)超えた場合
と定義して行いました。

幸いな事に、電動車椅子駆動時には必ず振動が発生するので、うまく発車/停車検出できました

※課題として、車椅子の種類によっては移動時の振動が少なく検知できないケースもあったため、
 走行/停止の閾値判定をキャリブレーションする仕組みはあっても良かったかなぁ。

旋回検出

これが曲者でした。
一般的にRoll/Pitch角の検出は重力の変化が起きるのでやりやすいのですが、
Yaw角検出は難しいのです。

ちなみに、M5Stackのサンプルコードである
MPU9250BasicAHRS
を使っても、YAW角は不安定でした。

そこで様々に調査した結果、M5Stack内部で使用している MPU9250という加速度センサは
バイス内部でDMPというYAW角算出のハード回路を有していますので、
加速度/ジャイロから計算するのではなく、ハードレジスタを読み出す形で行います。



これに対応したライブラリが以下にあるので、これを M5Stack用に改修してやるイメージです。
github.com


M5Stackへの適用方法は以下を参照ください。一部ライブラリの書き換えは必要になります。

qiita.com

#include <M5Stack.h>
#include <NeoPixelBrightnessBus.h> // instead of NeoPixelBus.h
#include <SparkFunMPU9250-DMP.h>


MPU9250_DMP IMU;


double comAccX,comAccY,comAccZ=0;  
double comAccX_old,comAccY_old,comAccZ_old=0;  
double gravityX, gravityY, gravityZ=0;

const double alpha = 0.9;//lowpassfilter
uint32_t timer;

float y_org=0.0;
float p_org=0.0;
float r_org=0.0;
float y_mod, y_mod_old, y_raw = 0.0;
float p_mod, p_raw = 0.0;
float r_mod, r_raw = 0.0;
float y_base = 0.0;


(中略)

void setup(){
    M5.begin();
    dacWrite(25, 0); // Speaker OFF
    Serial.begin(115200);

    Wire.begin();
    if (IMU.begin() != INV_SUCCESS){
      while (1){
         Serial.println("Unable to communicate with MPU-9250");
         Serial.println("Check connections, and try again.");
         Serial.println();
         delay(5000);
       }
    }
    IMU.setSensors(INV_XYZ_GYRO | INV_XYZ_ACCEL | INV_XYZ_COMPASS);
    IMU.setGyroFSR(2000); // Set gyro to 2000 dps
    IMU.setAccelFSR(2); // Set accel to +/-2g
    IMU.setLPF(5); // Set LPF corner frequency to 5Hz
    IMU.setSampleRate(10); // Set sample rate to 10Hz
//    IMU.setCompassSampleRate(10); // Set mag rate to 10Hz

    IMU.dmpBegin(DMP_FEATURE_6X_LP_QUAT | // Enable 6-axis quat
               DMP_FEATURE_GYRO_CAL, // Use gyro calibration
              10); // Set DMP FIFO rate to 10 Hz
 
}

void loop() {

  // Check for new data in the FIFO
  if ( IMU.fifoAvailable() ){
    // Use dmpUpdateFifo to update the ax, gx, mx, etc. values
    if ( IMU.dmpUpdateFifo() == INV_SUCCESS){
      // computeEulerAngles can be used -- after updating the
      // quaternion values -- to estimate roll, pitch, and yaw
      IMU.computeEulerAngles();

      // 前値からの差分が0.5°以内の変動は温度ドリフト分として 原点想定位置(y_org)を更新
      float y_raw_old = y_raw;
      y_mod_old = y_mod;
      y_raw = IMU.yaw;
      if(abs(y_raw-y_raw_old) < 0.5) y_org += (y_raw - y_raw_old);
      if(y_raw-y_raw_old > 355.5)    y_org  += (y_raw - y_raw_old)-360;
      if(y_raw-y_raw_old < -355.5)   y_org  += 360+(y_raw - y_raw_old);
      y_mod = IMU.yaw   - y_org;
      if(y_mod >= 360) y_mod -= 360;
      if(y_mod < 0) y_mod += 360;
      r_mod = IMU.roll  - r_org;
      if(r_mod >= 360) r_mod -= 360;
      if(r_mod < 0) r_mod += 360;
      p_mod = IMU.pitch - p_org;
      if(p_mod >= 360) p_mod -= 360;
      if(p_mod < 0) p_mod += 360;

//      Serial.print("R/P/Y: " + String(r_mod) + ", "
//            + String(p_mod) + ", " + String(y_mod)+ "   ");
    }
  }
    
   // 加速度センサのデータ受信
   acc_val_max = 0;
   //if ( IMU.dataReady()){
     IMU.update(UPDATE_ACCEL | UPDATE_GYRO | UPDATE_COMPASS);
     //printIMUData();

    double dt = (double)(micros() - timer) / 1000000; // Calculate delta time
    timer = micros();

    /*速度を求める*/
    // 重力加速度を求める
    gravityX = alpha * gravityX + (1 - alpha) * IMU.calcAccel(IMU.ax);
    gravityY = alpha * gravityY + (1 - alpha) * IMU.calcAccel(IMU.ay);
    gravityZ = alpha * gravityZ + (1 - alpha) * IMU.calcAccel(IMU.az);

    // 補正した加速度
    comAccX = IMU.calcAccel(IMU.ax) - gravityX;
    comAccY = IMU.calcAccel(IMU.ay) - gravityY;
    comAccZ = IMU.calcAccel(IMU.az) - gravityZ;

    velX = velX + (comAccX + comAccX_old)/2*dt;
    velY = velY + (comAccY + comAccY_old)/2*dt;
    velZ = velZ + (comAccZ + comAccZ_old)/2*dt;
   
    comAccX_old = comAccX;
    comAccY_old = comAccY;
    comAccZ_old = comAccZ;

    // 動いているときのみ点灯
    //if(comAccX > 0.02 || comAccX < -0.02 || comAccY > 0.02 || comAccY < -0.02 || comAccZ > 0.02 || comAccZ < -0.02){
    if(comAccX > 0.02 || comAccX < -0.02 || comAccY > 0.02 || comAccY < -0.02){
    //if(comAccY > 0.03 || comAccY < -0.03){
      move_flg = true;
      g_stopping_time = millis();  //時間リセット
    }else{
      move_flg = false;
      g_moving_time = millis();  //時間リセット
    }





}



上記以外のコードについては、
 ・状態遷移の記載
 ・LEDユニットの点灯処理
 ・スピーカ再生音設定
に関しては、過去のソフトウェアを流用していますので、特にブログに特記なしとします。
(もし興味がありましたら、個別にお問い合わせください)


最後に

息子のために作ってきた各種工作品、これが他の子供達の笑顔に繋げられるのかと思うと…
なんだか感慨深いです。。。

息子のためにモノづくりを始め1年半。趣味の活動が、多くの子供たちを喜ばせる事に繋がるなんて…
エンジニアとしての幸せなんやろなぁ、って思います。
モノを作るのは純粋に楽しい。
色々と苦労を乗り越えて、完成した時・思い通り動いた時の達成感は堪らない。
だけど、作った満足感だけで終わるのでなく、その先にある
「自分が作ったものが誰かの役に立つ嬉しさ」
「誰かをちょっぴり笑顔にする楽しさ」

を自分は大事にしていきたいな(^-^)

残りの夏休み宿題をこなしている中で、夏休みの絵日記を書いて貰ったら、
父「この夏休み、何が一番楽しかった?」
娘「お父さんと東京にいったときの、支援学校のお祭り!

娘にとっても色々と得るものが多い東京遠征やったのかなぁ、と思うと、なんだか嬉しい!



そして、これがご縁となり、なんとテレビから取材依頼がくることになったのです!
その話については、また別記事で書きたいと思います。

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