外出できないエレベータ大好きな子供のために、持運び可能なエレベータ操作パネルを製作。本物パネル(ジャンク品)をM5Stackでハック&その子の好みに合わせてカスタマイズ
病院のベットの上や、自分の部屋の中、いつも過ごしている日常の中に持ち込める
『その子専用エレベータ操作パネル』 です。
製作動機
きっかけ① : エレベータ好きの「あの子」のためのモノづくり**
2020年11月
「長期入院でベットから離れられない我が子に、大好きなエレベーターボタンを押させてあげたい」
という親御さんから相談を受け、ベッドの上でも擬似的にエレベーターを楽しめる体験として本製作を行いました。
「長期入院でベットから離れられない我が子に、大好きなエレベーターボタンを押させてあげたい」
— おぎ-モトキ@父親エンジニア (@ogimotoki) 2020年11月14日
という親御さんから相談を受け、
本物のエレベーター操作パネルを #M5stack で改造、
ベッドの上でも擬似的にエレベーターを楽しめる体験を作った
どんな環境でも
好きな体験を存分に楽しんで欲しい pic.twitter.com/ta7dAjAGNH
その子にとっては他の何にも変えられない程に、大好きなモノであるエレベータ!
特に障害を持った子供達や、こだわりが強い子供達にとって、
大好きになったモノが見つかれば、他の事に目もくれず全力で遊びます。
(弊息子もこだわり強く「ボール転がし」が好きな時期は、とにかくボールを見つけたら夢中で転がし続けていました)
そんな「大好きなこと」を思う存分に遊ばせてあげたい気持ち、本当によく分かります!
しかし、その「好きな事」がニッチであればある程、クリーンヒットする市販品が見つからない
見つからなければ、作るしかない!
きっかけ② 「誰かのため」が次の「誰かのため」へ
上記製作品をSNS(Twitter)に投稿したところ、多くの反響を頂き、改めて「その子の「好き」に突き刺さるモノを作ることの価値」を実感していました。
そんな中、2021年5月に
「動画で見たモノと同じ様なエレベータパネルを我が子に作って欲しい」
と相談を受けました。
なんでもそのお子様も「将来の夢はエレベーター」と答える程のエレベーター好き!
そして、リアルをとことん追求するくらい熱中するタイプらしいのですが、好きな事以外にはほとんど興味を示さないため、遊ぶオモチャはかなり限られてしまう。
だからこそ、欲しい!というものはなんとか叶えてあげたい!
その言葉に、とても胸が熱くなり、
「是非とも製作してあげたい!」と製作を実施しました。
「エレベータが大好きすぎる我が子の誕生日に、思う存分エレベータを楽しめるモノをプレゼントしたい」
— おぎ-モトキ@父親エンジニア (@ogimotoki) 2021年6月23日
とお母さんの相談を受け
本物のエレベータ操作パネルを #M5stack で改造
その子が大好きなフジテック製や東芝製など、
リアル音&操作感を楽しめる疑似エレベータパネルを作った
間に合った! pic.twitter.com/uJKJ9zR0BB
そのお子さんの好みをヒアリングしたところ、
「大好きなエレベータがある!」
とFUJITEC製のエレベータを紹介してくれたので、今回はその子の大好きなエレベータを再現してみました。
お子さんの無邪気に遊んでいらっしゃる姿、何度も繰り返し楽しんでる姿に、胸が熱くなりました。
エレベータ大好きな息子さんへのプレゼントとして依頼製作した
— おぎ-モトキ@父親エンジニア (@ogimotoki) 2021年7月2日
『モバイルバッテリーで動く改造エレベータ操作パネル』
お母さん(@Daggerina520)の手作りエレベータと組み合わせ
世界に一つ
その子専用エレベータ部屋ができた
嬉しそうに遊び続ける姿にぐっとくる
この笑顔こそモノづくりの醍醐味 pic.twitter.com/T7RCqmaUmh
ハード構成
システム構成図は上記参照。
本物のエレベータ操作パネルはオークションサイト経由で入手。(最近だとAliExpress で入手可能です)
本物パネルの手触り感(操作ボタンの触感)をそのまま使いつつ、表示部&音声部をM5Stackで後付けで取り付けました。
M5Stackでは、全体制御 及び フロア表示 や 行先フロアの選択(エレベータパネルにフロアボタンがないため代用) を行っています。また、8×8のLEDマトリクスを斜めにして、上下のエレベータ移動時の矢印を表現しました。音声は、実際のエレベータのある環境でマイク集音を行いMP3化した上で、DF player Miniデバイス経由で音声再生を行っています。
本体ボタンは12V供給が必要でしたが、5Vからの昇圧回路 及び レベル変換回路を組み合わせる事で、エレベータパネルへはUSB 5V給電のみで動作させる事ができました。これにより、実ユーザーの手元でも簡単に調達できるスマホ用モバイルバッテリーで遊ぶ事ができます。
当初の試作初号機(2020年11月)製作後に様々に反響を頂き、その後に3台ほど追加製作もする事になりました。
その際のユーザーヒアリングの中で
「いろんなエレベータメーカーの音を選びたい」
という要望があったので、それを受けて、起動時に複数メーカー音を選べる配慮も追加しています。
終わりに
私は普段、息子や家族の役に立つものを作りたい想いから、個人製作活動をスタートしてきましたが、
こうして自分の製作スキルを通して、我が家以外の人たちの何か力になれるというのは、とても感慨深いです。
特に、自分が製作したモノを通して、お子さんの無邪気に遊んでいらっしゃる姿、何度も繰り返し楽しんでる姿に、胸が熱くなりました。
こうして実際に使ってる姿を見せてもらえるのはすごく嬉しい!
作ったモノを通して、子供達の笑顔を引き出せた事は、何よりの製作ご褒美ですね。
何よりも、
入院中のお子さんに病室でも大好きなエレベータを遊ばせてあげたいと製作した最初のきっかけ
あの子のために作ったモノが、
こうして別の子の笑顔に繋がった事がすごく嬉しいです。
作ったモノを発信し続けて良かった
この記事やこの製作品、製作活動を通して、
また別の誰かに繋がっていけばいいな、と思い、
改めて執筆いたしました。