OGIMOノート~家族のためのモノづくり~

OGIMOテックノート ~家族のためのモノづくり~

重度障害の息子を持つ父親エンジニアの備忘録。自作の電子工作おもちゃ/リハビリ器具/ロボット関係の製作記録、思った事を残していきます

M5ポータブル エレベータ操作パネル ~外出できない子供達に向けた自分だけの専用エレベータ体験~

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外出できないエレベータ大好きな子供のために、持運び可能なエレベータ操作パネルを製作。本物パネル(ジャンク品)をM5Stackでハック&その子の好みに合わせてカスタマイズ

病院のベットの上や、自分の部屋の中、いつも過ごしている日常の中に持ち込める
『その子専用エレベータ操作パネル』 です。

製作動機

きっかけ① : エレベータ好きの「あの子」のためのモノづくり**

2020年11月
「長期入院でベットから離れられない我が子に、大好きなエレベーターボタンを押させてあげたい」
という親御さんから相談を受け、ベッドの上でも擬似的にエレベーターを楽しめる体験として本製作を行いました。


その子にとっては他の何にも変えられない程に、大好きなモノであるエレベータ!

特に障害を持った子供達や、こだわりが強い子供達にとって、
大好きになったモノが見つかれば、他の事に目もくれず全力で遊びます。
(弊息子もこだわり強く「ボール転がし」が好きな時期は、とにかくボールを見つけたら夢中で転がし続けていました)

そんな「大好きなこと」を思う存分に遊ばせてあげたい気持ち、本当によく分かります!


しかし、その「好きな事」がニッチであればある程、クリーンヒットする市販品が見つからない

見つからなければ、作るしかない!


きっかけ② 「誰かのため」が次の「誰かのため」へ

上記製作品をSNS(Twitter)に投稿したところ、多くの反響を頂き、改めて「その子の「好き」に突き刺さるモノを作ることの価値」を実感していました。
そんな中、2021年5月に
「動画で見たモノと同じ様なエレベータパネルを我が子に作って欲しい」
と相談を受けました。

なんでもそのお子様も「将来の夢はエレベーター」と答える程のエレベーター好き!
そして、リアルをとことん追求するくらい熱中するタイプらしいのですが、好きな事以外にはほとんど興味を示さないため、遊ぶオモチャはかなり限られてしまう。

だからこそ、欲しい!というものはなんとか叶えてあげたい!

その言葉に、とても胸が熱くなり、
「是非とも製作してあげたい!」と製作を実施しました。

そのお子さんの好みをヒアリングしたところ、
「大好きなエレベータがある!」
FUJITEC製のエレベータを紹介してくれたので、今回はその子の大好きなエレベータを再現してみました。

お子さんの無邪気に遊んでいらっしゃる姿、何度も繰り返し楽しんでる姿に、胸が熱くなりました。





ハード構成

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システム構成図は上記参照。
本物のエレベータ操作パネルはオークションサイト経由で入手。(最近だとAliExpress で入手可能です)
本物パネルの手触り感(操作ボタンの触感)をそのまま使いつつ、表示部&音声部をM5Stackで後付けで取り付けました。

M5Stackでは、全体制御 及び フロア表示 や 行先フロアの選択(エレベータパネルにフロアボタンがないため代用) を行っています。また、8×8のLEDマトリクスを斜めにして、上下のエレベータ移動時の矢印を表現しました。音声は、実際のエレベータのある環境でマイク集音を行いMP3化した上で、DF player Miniデバイス経由で音声再生を行っています。

本体ボタンは12V供給が必要でしたが、5Vからの昇圧回路 及び レベル変換回路を組み合わせる事で、エレベータパネルへはUSB 5V給電のみで動作させる事ができました。これにより、実ユーザーの手元でも簡単に調達できるスマホ用モバイルバッテリーで遊ぶ事ができます。


当初の試作初号機(2020年11月)製作後に様々に反響を頂き、その後に3台ほど追加製作もする事になりました。
その際のユーザーヒアリングの中で
「いろんなエレベータメーカーの音を選びたい」
という要望があったので、それを受けて、起動時に複数メーカー音を選べる配慮も追加しています。


終わりに

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私は普段、息子や家族の役に立つものを作りたい想いから、個人製作活動をスタートしてきましたが、
こうして自分の製作スキルを通して、我が家以外の人たちの何か力になれるというのは、とても感慨深いです。

特に、自分が製作したモノを通して、お子さんの無邪気に遊んでいらっしゃる姿、何度も繰り返し楽しんでる姿に、胸が熱くなりました。
こうして実際に使ってる姿を見せてもらえるのはすごく嬉しい!

作ったモノを通して、子供達の笑顔を引き出せた事は、何よりの製作ご褒美ですね。

何よりも、
入院中のお子さんに病室でも大好きなエレベータを遊ばせてあげたいと製作した最初のきっかけ
あの子のために作ったモノが、
こうして別の子の笑顔に繋がった事がすごく嬉しいです。

作ったモノを発信し続けて良かった


この記事やこの製作品、製作活動を通して、
また別の誰かに繋がっていけばいいな、と思い、
改めて執筆いたしました。