OGIMOノート~家族のためのモノづくり~

OGIMOテックノート ~家族のためのモノづくり~

重度障害の息子を持つ父親エンジニアの備忘録。自作の電子工作おもちゃ/リハビリ器具/ロボット関係の製作記録、思った事を残していきます

自宅で作れる新型コロナ(COVID19)対策用フェイスシールド & マスク事例

はじめに

新型コロナ(COVID19)が猛威を振るっている昨今。

政府より緊急事態宣言が出されて「Stay Home(自宅待機)」が推奨されている状況です。

そんな中、現在深刻な問題になっているのがマスク・フェイスシールドなどの防護具不足。
特に医療関係・商業関係・福祉関係など、私たちの生活を維持するために最前線で頑張ってくださってる方々にとって必要となる器具。

世界的にも深刻な課題の中、欧米では市民が有志でそれらの防護具を自作して医療・商業機関に提供する活動が進んでいるそうです。
日本でも、SNSでも3Dプリンタを活用した手作りのアイデア・試作の提案がされています。

私もモノづくりに携わる人間として、実用的な防護具の製作検討 及び 少しでも生産に携わる事で、
まずは自分の身近なところから、最前線で頑張っている方々のお役に立てないかと考えて、
量産性も加味した
実用的なマスク・フェイスシールドの製作

として検討を進めまてましたので、本ブログでもその検討結果を共有したいと思います。

これらの提案が、いろんな防護具不足解消に向けた、たくさんの選択肢の一つになれば嬉しいです。


製作事例① 3Dプリンタ製フェイスシールド

上記活動を紹介頂いた私の友人から推薦頂いた「Pruse」モデルを紹介します。
欧米の医療関係でも実績のあるモデルとの事です。

www.prusa3d.com

フェイスガード部は「100均のクリア下敷きA4」、これに「ゴムバンド」をつければ、自宅の3Dプリンタでも量産可能との事です。
以下が実際に制作された写真になります。

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上記で、実際の医療現場にヒアリングに行かれたそうで、フィット感や消毒しやすさの観点からも使えそうという感触をもらってるとの事です。

我が家でも、3Dプリンタで印刷してみました。フィット感も良く幅広で安定してるので、実用的だという印象でした!


ただ、我が家の3Dプリンタ(Flashforge社Adventure3)だと15cm四辺しか作れず、本モデルだとサイズアウトしてしまいます。
(一応「縮尺98%+斜め45度配置」では製作可能ですが、クオリティと製作時間を考えると、我が家の3Dプリンタでは量産は難しそうです)

20cm編を製作できる3Dプリンタをお持ちの方は、是非とも試してもらえるとありがたいです。



製作事例② 100均ショップ品のみで作る装着性の良いフェイスシールド

我が家では①の量産が難しそうなため、代替案として他の可能性を検討しました。
その中の一提案として、
 ・長時間の装着性の良さ
 ・部品調達のしやすさ
 ・製作の簡易さ (3Dプリンタをもってなくても作れる

を特徴にした製作アイデアとして、「市販帽子を使ったフェイスシールド」を製作しました。
製作時間10分、材料費208円で長時間付けていてもしんどくないフェイスシールドの可能性がありそうです。

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製作手順は以下の動画にまとめましたのでご確認ください。

youtu.be

【材料】
 ・つばつき帽子 ¥100
 ・クリア下敷きA4 ¥100
 ・結束バンド 4本 ¥8 (50本で100円)

【必要工具 】
 ・一穴パンチ ¥100
 ・丸キリ ¥100
 ・鉛筆
 ・A4紙 1枚
 ・ハサミ or ニッパー

★材料/工具含めてすべてダイソー(100均ショップ)でそろいます!


【製作方法 (詳細は動画へ)】
 ① クリア下敷きに4箇所を穴開ける(一穴パンチを使う)
 ② 帽子に4箇所を穴開ける(丸キリを使う)
 ③ ①と②を結束バンドで4か所止める
 ④ 完成

製作時間は5~10分程度で、部品も100均ショップで手に入るモノなので、すぐに製作できます!

帽子とクリア下敷きを取り付けるのに、安定性と作りやすさの両立を狙い「結束バンド」を使いました。
結束バンドはロボットや設備の世界でもよくつかわれる固定器具になりますので、耐久性はよいです。


帽子はバイザーがついていればどの様なモノでも応用できるので大丈夫です。
なので、自分が被りやすいモノを選べばOKです。
(そもそも、これが100円で売ってる時代って…すごい!)

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また、3Dプリンタをお持ちの方は「帽子」と「下敷き」の間の3Dプリンタ製作でのアタッチメントをつければ、
より安定度は上がります。(もちろんアタッチメントがなくても大丈夫です)

3Dプリンタアタッチメントに私は以下のサイトのものを使いました。
(15cm辺内で製作可能なモデルになるので、我が家でも量産可能です)
Asiga Face Shield - Google ドライブ


医療用としては消毒しずらい課題があるため現実的ではないかもしれませんが、商業施設や福祉施設などでの飛沫帽子としては需要がありそうな感触ですので、
引き続き自分の周りで役に立てるところがないか、ヒアリングしてみたいと思います。



製作事例③ キッチンペーパーで作る手作りマスク

我が家でも不足していた使い捨てマスク課題を回避するため、いろいろと試作してみました。
その結果、「洗えるキッチンペーパー」を使ったモノが肌心地もよく、装着性も良かったです。

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なお、作り方は以下のサイトを参照ください。

www.youtube.com



なお、ゴムには、我が家では子供用ストッキングを切って対応してます。非常に装着性もよく市販品よりも快適でした。

こちらは妻が製作して、一部を子供の通うリハビリセンターに提供してきました。
リハビリセンターでも深刻なマスク不足なので、少しでもリスクを減らすための対応として少しでもお手伝いできれば、と思います。


さいごに

我が家にて、実用的に使えそうなモデルをターゲットに製作試作をいくつか繰り返し、その上で良かった感触のモノを紹介しています。

もちろんこれは提案の一例ですし、各家庭や個人によっては、もっと作りやすい方法もあると思いますので、
SNSにももっとたくさんの製作事例や詳細手順から選んでいただけばと思います。

こちらの共有情報も、そんなたくさんの選択肢のなかの一つになれば嬉しいです。


なお、私も普段から息子や家族など身近な人に喜んでもらうためのモノづくりを進めていますが、
誰かの人に役に立つモノを作れるのは本当にメイカー人の一人としてすごく嬉しいと感じます。

まずは、自分の周りで私たちの生活を守ってくれている方々
例えば、子どもの通う病院、リハビリの先生、ヘルパーさん、馴染みのお店の店員さんなど
実際に顔を思い浮かべる事ができる人たちに1人のモノづくり人としてお役に立てればなぁ、と思っています

なお、上記①フェイスシールドをベースに市民活動として医療関係者や行政を巻き込んで、Maker有志で協力できる事を模索している動きがいろいろとある様です!
私の住む大阪では以下のfacebookグループで取り組みを加速していますので、ご興味をお持ちの方はぜひともご協力をお願いいたします。

https://www.facebook.com/groups/2606161242974690/

【DIY】お風呂介助用の姿勢保持(支え)器具を作ってみた

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製作目的

6歳になる弊息子は自分一人で座位を取ることが困難で、普段は「ズリバイ状態」か「上半身を固定(拘束)可能な専用椅子に座った状態」です。
そんな息子を介助している中で、大きな悩みが【お風呂介助】です。

今までは、
私(父親)が介助する場合は息子を片手で抱えながら体を洗いますが、妻(母親)が介助する場合は赤ちゃん用浴槽ベビーチェアに寝かせる形で体を洗っていました。

しかし、6歳になり体が大きくなってきた息子、いよいよ赤ちゃん用浴槽ベビーチェアだとサイズアウトしてしまいます。 我が家の浴槽スペースは広くないため、バスマット上に寝かせておくのも困難。
そもそも寝かせた状態だとお湯が掛かるリスクもあり危ない。。。

どうしても平日は妻が一人でお風呂介助する機会が多いため、今後さらに物理的な負担が増える懸念があります。。。
負担が増してくると、どんどん気持ちが後ろ向きになってくる…

そんな妻の不安を解消するため、
身体の小さい妻がお風呂介助時に困らずに息子の体を洗える事を目指して、
【お風呂で使える息子用姿勢保持器具】を自作してみました。

製作要件

・お風呂内で使えるコンパクトさ、耐水性
DIY初心者でも作れる簡易さ、部材調達の容易さ


完成品

ホームセンターで売っている塩ビパイプを使って、簡易の姿勢保持器具を作りました。

息子は支えがあれば座位が出来るため、この様に体を支えるためのパイプを体の前面/側面に設置する形式をとっています。
イデア自体は、息子の通っているリハビリ病院のPT先生から教えて貰いました。

リハビリの先生方は身近なモノを使って工夫にとんだ器具を製作されていて、とても勉強になります!



部品一覧

我が家で製作した姿勢補助器具の材料一覧です。

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部品名 数量 購入先 値段
①塩ビパイプ(太さ20mm) 1m×2本 ホームセンター ¥200×2
②塩ビパイプ(太さ20mm)L字継手 4個 ホームセンター ¥200×4
③塩ビパイプ(太さ20mm)T字継手 2個 ホームセンター ¥200×4
④マメイスボール 1個(4つ入) Amazon ¥900
⑤クッションシート 1m ホームセンター ¥800


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製作方法

素材の加工

購入した「①塩ビパイプ」をカットします。
塩ビパイプのカット寸法は子供さんのサイズによって異なりますが、
息子(身長90cm)の場合、高さ20cm程度のサイズで製作する想定になります。

・20cmパイプ × 2本 → 高さ方向
・23cmパイプ × 2本 → 前方斜め方向
・25cmパイプ × 2本 → 側方
・35cmパイプ × 1本 → 前方
・10cmパイプ × 2本 → L字とT字のつなぎ目

パイプは1m単位でしか販売されてなさそうですが、うまくすれば1mパイプ2本で使いきる事ができます。
1本目:20cm+20cm+35cm+25cm
2本目:23cm+23cm+25cm+10cm+10cm +余り

パイプは糸ノコで切れますが切断面がザラザラになるので、バンドソー等の電動工具で実施する方がラクです。
(我が家の近くのホームセンターでは無料で貸出ししてくれるので、そこでカットしてしまいます)


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切断面は念のため、紙やすり or サンダーで平坦にしてバリをなくす方がよいでしょう。


組立て(仮固定)

下図の様に組み合わせていきます。
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2つのパイプは「②塩ビパイプ(太さ20mm)L字継手」「③塩ビパイプ(太さ20mm)T字継手」にはめ込むだけで
簡単に仮組みできます。


穴あけ&ネジ止め

仮固定した状態から、継手とパイプをネジで本固定します。
ネジとしてM4ステンレスネジを使いました。
まずは仮固定状態で電動ドリル or ボール盤で継手+パイプを貫通させる様に穴を開けました。電動ドライバだと垂直に穴を開けられないため、ボール盤を使う方が良さそうです。(ボール盤もホームセンターでレンタル使用しました)

下記の計14か所を穴開けします。

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ネジの長さですが、35mm~40mmのものを使用しました。
長いとネジ先が飛び出してケガしてしまうので、ネジ頭を保護するカバーを付けるか、ホットボンドを後からネジ先につけると良いと思います。

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クッション付け

このままだと、パイプのむき出し部分が当たって痛いのでクッションを付けます。
クッションカバーとしては、子供の怪我防止のために家具などの取り付けるクッションカバーを使います。
ただし、両面テープだとお風呂ですぐにはがれてしまうので、100均等で売ってる「締結バンド」を使って固定します。


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「締結バンド」実は非常に便利で、ロボットや設備等、耐久性が必要な機器の内部でも使われるパーツですし、防水性の必要なものにも使えるすぐれもの。ただし、カット部分のバリ(エッジ)でケガしてしまいかねないので、しっかりバリ取りチェックはしてください。


そして、塩ビパイプだと風呂場では滑りやすいので、脚にすべり止めを付けます。

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すべり止めとしては外れにくいスポンジタイプのものを取り付けます。
調べたところ、子供用椅子(豆椅子)用のすべり止めスポンジがそのまま脚にはめるだけなので使いやすそうでした。


まとめ

息子をお風呂介助に悩んでいる妻の困りごとを解決するため、
息子の座位を補助する器具を塩ビパイプで製作しました。

塩ビパイプは、見た目は露骨ですが、
「加工の容易さ」「軽さ」「耐荷重」「耐水性」の観点ですごく応用が利くと感じました!

今後、息子の体が大きくなったとしても、該当のパイプ部分だけを差し替えればずっと使っていけそうです!
他にもいろいろな自作姿勢保持に使っていきたいと思います!

分身ロボットで更なる身体拡張 OriHimeジェスチャーコントローラ製作

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製作動機

単身赴任中、家族と遠く離れた寂しさを解消するために導入した
分身ロボットOriHime

ogimotokin.hatenablog.com


分身ロボットOriHimeにはカメラが内蔵されており、
操作者はスマホに表示されたカメラ映像を見ながら、
遠く離れた相手と相手と音声会話ができます。
その大きな特徴の一つに、
操作者のスマホ(コントローラ)から分身ロボットの首や手を動かせる機能
があります。


これにより、何気ない会話の中に
「ばんざい」「なんでやねん」
など物理アクションを混ぜる事で
コミュニケーションを盛り上げたり、その人がそこにいる存在感、
更には「その人らしさ」を増幅させる効果があります!


OriHimeの手はシンプルなコミュニケーション用途のため、
物を持ったり、押したりはできません。

しかし、先日にSNS上にて、
「自宅から出れない子供が、
 自宅からOriHimeで学校クリスマス会に参加し、
  その際にOrIhime腕で無理やり楽器を鳴らそうとする」

様子を見て、更なる分身ロボットの可能性を感じました!


これを使えば、

外出できない子供・友人らと一緒に
遠隔で楽器セッションや一緒に遊んだりできるかもしれない!

その可能性を広げてみたいと考え、
我が家にある分身ロボットを使ってた
『OriHimeのモーションをトリガにして、
 いろんな機器を操作できる能力拡張ユニット』

を自作してみました。



開発ポイント

・短期間での開発実証のため、
 コミュニケーション手段としてOriHimeを活用
・OriHimeはレンタル品のため改造不可。
 拡張ユニットは外付けを前提とする
・拡張ユニットの操作は
 「OriHimeの操作コントローラのみ」で実現させる


製作物

OriHimeの手の動きに応じて、
「福祉用スイッチ機器」や「自作タンバリン演奏マシン」などを操作できる
ジェスチャーコントローラユニット



出来る事① 腕を上げる事で2種類のスイッチ機器をONにできる
出来る事② 右腕に連動して自作演奏アームを上下に自由に動かせる
出来る事③ 腕の動きを検出して、専用自走タンク台車をコントロール

■動画① 2種類のスイッチ機器を電源ONに


■動画② 専用打楽器ハンドでマスタースレーブ動作


■動画③ 自走タンクをジェスチャーで操作



これにより、従来の分身ロボットOriHimeでは出来なかった
スイッチ機器の操作重たいモノを動かす事
OriHImeのモーション操作のみで実現できます!

更に、自作の打楽器演奏アームを使えば、OriHImeの腕の動きに連動させる事も!

ogimotokin.hatenablog.com


本来はスレーブである分身ロボットがマスターとなって
更にその分身スレーブ機器を操作する

という新しい概念!


これを進化させれば、市販品(OriHime)の機能はそのままで、
その外側を自分たちがやりたい事に合わせて機能を後付け出来るので、
介護福祉の世界で最近注目されている
「ハッカブル」
という世界観
にもマッチする気がします。

※ちなみに、こちらはあくまで非公式の個人的な取り組みです。



システム構成

全体のシステム構成は以下になります。
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OriHime自体は改造不可の市販品であるため、
いわゆるラズパイ等の様にユーザーが自由にプログラム制御できる信号線(GPIO)が存在しません。
なので、代わりに加速度センサーを「腕角度検出ユニット」として、
ユーザ操作有無を判別に使うというGPIO代わりとして使ってます。
その出力系として、福祉業界で一般的に使われている
スイッチ機器(3.5mmモノラルジャック)を
2つ制御する想定のジェスチャーコントローラにしました。

※この考え方はいろんな市販機器をハックするのに使えそうです。


もう少しハードウェア情報を詳細化した図が以下になります。

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加速度センサーとしては、一般的に使われているTDK(旧Invesense)のMPU-6050を使いました。
それをOriHimeの腕に付けるためのバンド風外装をFusion360で設計、3Dプリンタで作成しました。

加速度センサーとしては、一般的に使われているTDK(旧Invesense)のMPU-6050を使いました。
それをOriHimeの腕に付けるためのバンド風外装をFusion360で設計、3Dプリンタで作成しました。


操作意図の検出バリエーションを増やすため、「腕を前に上げた場合」と「腕を水平に上げた場合」を区別する事を考えました。
検討の結果、腕を上げる方向は Pitch、水平/前の方向は Roll を見る事で両者を判別できそうです。

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これらの加速度センサー×2の情報からユーザー意図を推定
(例えば、右手が90度上がったら電源ONの命令をしたと解釈)して、
機器操作に反映させます。


機器操作はもっともシンプルな手段は「スイッチ機器の電源ON」で、
マイコンのGPIOからフォトカプラ(フォトリレー)経由でスイッチ回路を短絡させてやります。
しかし、これだけでは、例えば「使い方②」の様なマスタースレーブ制御はできないため、
更にUART等の制御信号を外部機器に繋げられる配慮も入れます。
(今回は、接続配線を減らすため、3.5mmステレオケーブルの空きピンをUART TX信号として
打楽器ハンドとシリアル片通信を実現させました)



ソフトウェア

ポイントは角度の算出方法です。
一般的に、加速度センサーは誤差蓄積や温度影響によるズレ(温度ドリフト)影響があるので、
そこから姿勢角データを抜き出すのにはノウハウがいります。
ただ、MPU-6050の場合、姿勢角(ROLL/PITCH)を DMPと呼ばれるIC内部のハードウェア回路を使って呼び出す事ができます。

ogimotokin.hatenablog.com

今回もDMPを使って、姿勢角を算出しようとしましたたが、、、
右側センサの姿勢角は取得できるが、
左側センサの姿勢角が取得できない。

どうやら、2つのMPU-6050が存在しているとDMP用ライブラリがうまく動かない様です。。。


仕方がないので、今回は以下の記事で使った様に、
加速度から愚直にソフトウェアで角度計算をするスタイルを取りました。

ogimotokin.hatenablog.com

void get_angle_from_imu(){
    float left_acc_x, left_acc_y, left_acc_z;
    float right_acc_x,  right_acc_y,  right_acc_z;
    int i;
    //  send MPU6050_L_ADDR
    //  send start address
    Wire.beginTransmission(MPU6050_L_ADDR);
    Wire.write(MPU6050_AX);
    Wire.endTransmission();  
    //  request 14bytes (int16 x 7)
    Wire.requestFrom(MPU6050_L_ADDR, 14);

    //  get 14bytes
    short int AccX, AccY, AccZ;
    AccX = Wire.read() << 8;  AccX |= Wire.read();
    AccY = Wire.read() << 8;  AccY |= Wire.read();
    AccZ = Wire.read() << 8;  AccZ |= Wire.read();

    //  X/Y方向を反転
    AccX = AccX * -1.0;
    AccY = AccY * -1.0;

    // 取得した加速度値を分解能で割って加速度(G)に変換する
    left_acc_x = AccX / 16384.0; //FS_SEL_0 16,384 LSB / g
    left_acc_y = AccY / 16384.0;
    left_acc_z = AccZ / 16384.0;

    // 加速度からセンサ対地角を求める
    for(i=3; i>=0; i--){
      left_angle_tmp[0][i+1] = left_angle_tmp[0][i];
      left_angle_tmp[1][i+1] = left_angle_tmp[1][i];
    }
    left_angle_tmp[0][0] = atan2(left_acc_x, left_acc_z) * 360 / 2.0 / PI * -1;
    left_angle_tmp[1][0] = atan2(left_acc_y, left_acc_z) * 360 / 2.0 / PI;

    //5値の平均値を取得する
    left_angle[0] = (left_angle_tmp[0][0]+left_angle_tmp[0][1]+left_angle_tmp[0][2]+left_angle_tmp[0][3]+left_angle_tmp[0][4])/5;
    left_angle[1] = (left_angle_tmp[1][0]+left_angle_tmp[1][1]+left_angle_tmp[1][2]+left_angle_tmp[1][3]+left_angle_tmp[1][4])/5;

    //  send MPU6050_R_ADDR
    //  send start address
    Wire.beginTransmission(MPU6050_R_ADDR);
    Wire.write(MPU6050_AX);
    Wire.endTransmission();  
    //  request 14bytes (int16 x 7)
    Wire.requestFrom(MPU6050_R_ADDR, 14);

    //  get 14bytes
    AccX = Wire.read() << 8;  AccX |= Wire.read();
    AccY = Wire.read() << 8;  AccY |= Wire.read();
    AccZ = Wire.read() << 8;  AccZ |= Wire.read();

    // 取得した加速度値を分解能で割って加速度(G)に変換する
    right_acc_x = AccX / 16384.0; //FS_SEL_0 16,384 LSB / g
    right_acc_y = AccY / 16384.0;
    right_acc_z = AccZ / 16384.0;

    // 加速度からセンサ対地角を求める
    for(i=3; i>=0; i--){
      right_angle_tmp[0][i+1] = right_angle_tmp[0][i];
      right_angle_tmp[1][i+1] = right_angle_tmp[1][i];
    }
    
    right_angle_tmp[0][0] = atan2(right_acc_x, right_acc_z) * 360 / 2.0 / PI;	//pitch
    right_angle_tmp[1][0] = atan2(right_acc_y, right_acc_z) * 360 / 2.0 / PI;	//roll
    //right_angle_tmp[1][0] = atan2(right_acc_x, right_acc_y) * 360 / 2.0 / PI;

    //5値の平均値を取得する
    right_angle[0] = (right_angle_tmp[0][0]+right_angle_tmp[0][1]+right_angle_tmp[0][2]+right_angle_tmp[0][3]+right_angle_tmp[0][4])/5;
    right_angle[1] = (right_angle_tmp[1][0]+right_angle_tmp[1][1]+right_angle_tmp[1][2]+right_angle_tmp[1][3]+right_angle_tmp[1][4])/5;   
}

最後に

イカーの方々であれば、
「GPIO制御可能なコミュニケーションロボを別途作ったらよいのでは?」
とか
スマホで操作できる別機器にすればいいのでは?」
などと思うかもしれません。

もちろんその手段も当然ありだと思います。


ただ、特に非メイカーの人たちに
遠隔機器を操作してもらう上で鍵になるのは、
「接続しやすさ(トラブル回避)」

「操作コントローラの使いやすさ」
だと自分の経験から感じています。

例えば、Skype等のテレワークで良くある事なのですが
機器トラブルなどでうまく接続できない場合、
特に遠隔だと相手が近くにいないのでトラブル対応の誘導が難しい。
(トラブルが起きると、それがトラウマになってすぐに使われなくなってしまう…)

なので、それを避けるため、
遠隔通信は実績のあるOriHImeなどの市販品を使い、
手元部のみ個人製作物で拡張するという手段を取りました。 

更に、
「OrIHimeユーザーにとっては普段慣れた操作I/Fのままで拡張機器を操作できる方が
受け入れられやすのでは?」

という操作IFの親和性を試す意味もこめて、
ジェスチャーという既存コントローラをそのまま使えるスタイルを取ってみました。


モニター募集(緩く)

先日の「楽器演奏アーム」に加えて、
この「OriHime用ジェスチャコントローラ」
ニーズがありそうならば
追加開発/キット化も視野にいれてみたいと思っています。

もしご興味ある方、製作相談等があれば、
Twitterアカウント(@ogimotoki)へ直接DMを頂けると嬉しいです!

【2020/3/27】毎日新聞 掲載 ~脳性まひの子供のために、支援機器を自作で50個~

我が家で取り組んでる
『息子や家族・友人のためのモノづくり』活動
が、3/8(日)に毎日新聞様Webサイトに公開されました。

mainichi.jp

また、近畿版は昨日(3/27)夕刊に掲載されました!

当日に突然の連絡やったので、
慌ててコンビニで買って帰りましたが、
予想以上に大きく取り上げられてた!(^^;
テレビ欄の裏、4コマ漫画横の記事欄を
半分近く占めてる(笑)
なんだか感慨深い~

障害を持つ息子の「できる」を引き出すサポート機器の自作取組みの様子です。
人にサポートして貰う事が多く、受け身になりがちな息子。


その息子の好奇心を掻き立て、「自分の力でやってみよう」という子供の意志を楽しく引き出そうとするちょっとした工夫の形。
「50個」という数字そのものがタイトルで強調されてますが、作ったモノの数よりも、その頻度で試行錯誤(「作る」→「子供に使って貰う」→「改善する」)を繰り返してこれた体験そのものに価値があったのかなぁ、と思ってます。
市販品がうまく使えない部分は、身近な人・支援できる人達がその子に合わせてカスタマイズ&アップデートして、「我が子専用」にしてやればよい。

ちなみに、取材自体は1月上旬でしたが、そこから1ヶ月半で息子用の移動練習車椅子は更にアップデートされてます(笑)
すぐ目の前に使ってくれる人がいるからそこのスピード感。
この2年間、とにかく手を動かし続けて、最近ようやく、息子や子供達の興味を引き出すモノをタイムリーに提供できる様になってこれた気がします。
また、これから少しずつですが、息子向けに開発した技術ノウハウを他のお子様・友人に展開していく事も意識してやっていきたい。もちろん、必要としてくれる人達に届けたいという想いもあるし、その一方で、友人向けに開発したノウハウ・使い方・アドバイスが我が子向けにも良いフィードバックに繋がる事もこの2年で分かってきた。
そんな良い循環ループが生まれそうな気配を形にしていければ、と思ってます!
記事の最後では
『モノやテクノロジーだけですべての困り事を解決する事は現時点ではできないかもしれないけど、、その子に合わせた工夫をすれば何とかなるかもしれない!
そう思える機会を重ねる事で、未来は明るく前向きに思える! そのために自分はモノを作り続けてる』

的な事を書いてもらってます。(ちょっぴり自分で加筆w)
これからも頑張って&楽しく子供達の「できる」を引き出していくモノづくりをしていきたいです

おぎモトキ (廣瀬 元紀) プロフィール

「家族のためのモノづくり」
をテーマに、障害を持った息子や家族、大切な人のための発明&モノづくり&実践活動に取り組んでいます!


【更新情報】
★New★ 2024/2/11(日) 日本テレビ真相報道バンキシャ!」の特集で我が家(廣瀬/おぎモトキ)家を密着取材頂きました!

【密着】息子に贈る発明品、試行錯誤の日々 障がいある息子と…ある家族の物語
www.youtube.com

 

自己紹介

■ 名前: おぎモトキ (廣瀬 元紀)

主要SNSはこちら


 
 
 
 

製作依頼・相談、講演依頼、取材依頼などは各種SNSのDMよりお願いいたします


■ 家族

妻 (まほともオカン) : 専業主婦、ゲーマ 時々 ピアニスト。
  ピアノ&ゲーム実況配信サイト: まほともオカン - YouTube
娘 (まほとも) : 息をするかの様に毎日イラスト描きに没頭中。
息子 (ともかつ/トモくん) : マイペースでこだわり強いおもちゃ研究家

   
■ 息子の障害について


・ 在胎24週で生誕した超低出生体重児(体重865g)
 生後2か月で水頭症と診断、VPシャント手術済
小脳低形成、中重度の脳性麻痺(失調型)
・ 身体面
 バランスを取るのが難しく、6歳時点で座位保持/立位が困難
・ 知的面
  知的遅れあり (現時点で1~2歳程度)、発語は困難。
 簡単なジェスチャーで意思は表現しようとしている
 好きなものへのコダワリが強く、パニック(号泣/叫び)を起こしやすい

活動概要

障害を持った息子や家族のため、そこから障害を持った人達の「できる」に繋げられる様に、大きく3つの領域で活動を展開しています。

①「息子・家族のため」(父親エンジニア)
②「目に見える周りの誰かのため」(OGIMOテック開発室)
③「将来の社会に繋げるため」(本業ロボット開発)

個人活動としては、①及び②の領域で取組みを加速しています。

■個人活動:息子・家族のためのモノづくり

 障害を持った息子や家族の日々の困りごとを自分の得意な電子工作スキルを駆使して解決しようとする『家族のためのモノづくり』 活動に取り組んでいます。
息子用リハビリ機器、おもちゃ改造、息子用モビリティ等の自作・改造が中心。

 「本人の好奇心を引き出す遊び心 × スピード感× 日常使用」をモットーに、モノを通して子供達の「できる」「楽しい」を引き出す体験を作ろうと奮闘してます。


 

■個人活動:障害当事者/支援者など誰かのためのモノづくり

家族向けや、コミュニティ活動の中で、製作してきた研究開発品。
これを同じ様な境遇を抱える当事者、家族、支援者など必要としてくれる人に届けたい!
この想いで、主に「これまで開発してきた発明品をベースにしたカスタマイズ量産製作&提供活動」を行っています。

本活動の屋号「OGIMOテック開発室」

ロゴ製作 : Daichi Sugimoto


製作依頼などは、facebook、X(旧Twitter)や InstagramのDM等でご連絡頂ければ嬉しいです。

■個人活動 : コミュニティ活動

本職や家族向け開発とは別に、コミュニティ活動も行っています。家族向けに開発したモノ&技術を活かし、困っている人の悩みを解決できる事が出来ればと思っています。

オリィの自由研究部 (β)
community.camp-fire.jp



ロボットコミュニケータの吉藤オリィさんのオンライン研究会に副部長として参加させて頂いています。
困っている人の課題を元に解決アイデアをワイワイと検討する「発明検討会」、そのアイデアを元にしたプロト製作、実際に困りごとユーザーに使ってもらう等、実践重視の自由研究コミュニティです。

メンバーの皆様と一緒にワクワク&ワイワイ取り組み中。ご興味あれば是非ともご参加ください





製作物一覧

代表的なモノ


 


 





 
 

2018年から始めた制作活動のうち、
以下のサイトに2019年での製作物をまとめています。
【2023年製作物】
ogimotokin.hatenablog.com
【2022年製作物】
ogimotokin.hatenablog.com
【2021年製作物】
ogimotokin.hatenablog.com
【2020年製作物】
ogimotokin.hatenablog.com
【2019年製作物】
ogimotokin.hatenablog.com


個人製作品に関する製作相談などについては、TwitterアカウントよりDMください。


受賞歴

■ヒーローズリーグ2021
作品名:子供用成長支援モビリティ ToMo-bility
・MAヒーロー賞 (プレゼン部門優勝)
・CIVITECH賞 (CIVITECH部門優勝)
・ベストドリーマ賞 (個人賞)

protopedia.net

勝戦プレゼン動画 (開始24:15辺り)


■ヒーローズリーグ2022
作品名:歩行リハビリエンタメシステム Melody Shoes
・CIVITECH賞 (CIVITECH部門優勝)

protopedia.net

勝戦プレゼン動画(開始38:08辺り)


■M5Stack Japan Creativity Contest 2021
M5Stackデバイスを活用したモノづくりコンテストにて、応募2作品を両受賞。
2位 : M5ポータブル エレベータ操作パネル ~外出できない子供達に向けた自分だけの専用エレベータ体験~
protopedia.net

特別賞(意義深いで賞) :
protopedia.net

■M5Stack Japan Creativity Contest 2023

特別賞(研究アイデア賞) :
protopedia.net

書籍

■アイデアをカタチにする! M5Stack入門&実践ガイド[M5Stack Basic/M5StickC対応] (2022/3)
「大切な人に向けたM5stack自作支援機器」として一部を執筆させて頂きました






メディア掲載

■■【New!】 日本テレビ真相報道バンキシャ!」 (2024/2/11 放送)
息子に贈る発明品、試行錯誤の日々 障がいある息子と…ある家族の物語
ogimotokin.hatenablog.com

■■【New!】 Webメディア「エンジニアType」 (2024/2/22 掲載)
ユーザーに刺さるものは「申し訳ない気持ち」から生まれる。エンジニア・おぎモトキが家族のためのものづくりで得た学び
type.jp


■■ フジテレビ系列「めざましテレビ」 (2019/8/26 放送)
~歩けない息子のため…”父の発明品”~
www.youtube.com


■■ Webコンテンツ Daily Portal Z (2019/9/16掲載)
dailyportalz.jp



■■ 毎日新聞Webサイト (2020/3/8掲載)
mainichi.jp



■■ フジテレビ系列「めざましテレビ」 (2020/8/14 放送)
~息子のため…父が“天井にゲーム”開発~
www.youtube.com

きっかけになった開発Tweet


■■ 朝日新聞 (2020/10/8掲載)
www.asahi.com


■■ JSME(機械系に進む中高生を応援!)サイト (2023/10/25)
介護向けロボットの事例紹介の中で、子供成長支援モビリティ"ToMo-bility"を紹介頂く
https://www.jsme.or.jp/career-mech/juniornews-m2310/www.jsme.or.jp




■■その他関連

●M5Stackで「エレベータ操作パネル」を自作 (2021/9掲載)
protopedia.net

複数のメディア記事で掲載
fabcross(2021/09/29掲載)
grape(2021/09/29掲載)


●ねとらぼ:「白衣が最高になびく至高の乗り物」(2021/12/4掲載)
ロボット研究者の吉藤オリィさんとの共同製作開発品
nlab.itmedia.co.jp



●オンラインボッチャ(2020年8月~)
※オンライン研究会「オリィの自由研究部(β)」及び 一般社団法人オンラインボッチャ協会と共に推進。
私は本装置の開発 及び 技術担当顧問として活動

www.youtube.com

ロボットスタート:企業スポンサー付き公式大会を開催(2021/8)
バイオジェン : オンラインボッチャ全国大会 開催(2022/4)
読売新聞 2022/9/21 : 全国大会決勝戦 紹介
NHK WORLD-JAPAN放送 (2022/10/3)
www3.nhk.or.jp


NHK World-JAPAN (2023/3/25)
ロボット研究者の吉藤オリィさんの特集の中で、
私の開発したOriHime車椅子システムを使った遠隔移動販売の様子や、オリィの自由研究部(β)メンバで取り組んだOriHimeキッチンカーや楽器演奏装置も紹介頂いています。

www3.nhk.or.jp





外部講演・登壇イベント

・ユニバーサル事務次官PJ勉強会@東京・霞が関(2024/2/14)
ogimotokin.hatenablog.com

・東海特別支援教育カンファレンス@岐阜(2024/2/11)
ogimotokin.hatenablog.com

・福岡県立糸島高校 糸学志向 工学ゼミ講師アドバイザ(2024/1/31)

NPO法人ぷれいふる様 キッズツールディ(2024/1/21)
ogimotokin.hatenablog.com

・埼玉県越谷支援学校 全社研修会(2023/12/25)

Panasonic DEIイベント (2023/11/25)

・株式会社かなえるリンク 研修会(2023/3/19)

・ヒーローズリーグ2022 キックオフベント (2022/9/5)
youtu.be

兵庫県尼崎市 地域講演会 (2021/2)

・プロトペディアの時間 vol.83 (2022/6/22)
youtu.be

・世界ALSデーin NAGOYA みんなでゴロンしよう (2022/6)
2022「世界ALSデー in NAGOYA みんなでゴロンしよう!」Full動画 - YouTube

・福岡エンジニアカフェ「だれかのためのモノづくり」(2021/2,10)
www.youtube.com








展示会出展

本当の可能性に、アクセスする (2024/1/13)

第4回関西キッズ機器展 (2023/11/11-12)
ogimotokin.hatenablog.com

アートパラ深川 (2023/10/22)

Maker Faire Tokyo 2023 (2023/10/14-15)

M5Stack User Meeting in Osaka 2023 (2023/5/1)

Maker Faire Kyoto 2023 (2023/4/30)

GUGEN2022 (2022/12/17)

Maker Faire Tokyo 2022 (2022/9/3-4)

Maker Faire Tokyo 2022 (2022/9/3-4)

子供福祉機器展 Kid Festa2021 (2022/4)

子供福祉機器展 Kid Festa2020 (2021/4)

Maker Faire Tokyo 2020 (2020/10/2-3)

Maker Faire Kyoto 2020 Online (2020/5/2)

Maker Faire Tokyo 2019 (2019/8/2-3)

Maker Faire Kyoto 2019 (2019/5/4-5)










本業

Panasonic にて黒物家電の開発エンジニア。
しかし、息子が障害を持って生まれた事をきっかけに、
「障がいを持つ子供達の成長や未来に直結するモノを作りたい」
と決意し、2018年にロボティクス機器の研究開発に社内転職

歩けない子供達の手足の代わりをサポートできるロボット技術開発
を作るべく研究開発しています。


本業での公開情報
① 追従型ロボット車椅子Piimoの開発/商品化
youtu.be

開発者インタビュー記事(本人出演)
recruit.jpn.panasonic.com


本プロジェクト取組みの一環で、以下の受賞を頂いています。
第67回電気科学技術奨励賞並びに電気科学技術奨励会会長賞 (2019/11)

日本ロボット学会 実用化技術賞 (2020/10)




② 屋外公道走行可能な搬送ロボット開発
2020年12月~現在(2023年3月時点) 藤沢SSTでのロボット配送実験取組み

2022年4月 つくば市でのロボット配送取組み

2022年12月 東京・丸の内でのロボット移動販売取組み

開発者インタビュー動画(本人出演)
www.youtube.com


本業と個人活動のコラボともいえる共創活動
2023年7月  自動配送ロボット"ハコボ”×分身ロボット”OriHime”の融合による遠隔タウンツアー実証


note-moonshot.jst.go.jp


[取得資格]
・エンベデッドシステムスペシャリスト[IPA]
・プロジェクトマネージャ [PA]
・家電製品エンジニア [家電製品協会]

「家族のためのモノづくり」のきっかけ&想い

息子が4歳になった頃、
「この先、家族の「障がい」と向き合う上で、
果たして自分は父親として何ができるのだろう」

とぼんやり考える様になりました。

自分は何のために働くのか、
何のためにものを作るのか、と
社会人10年目の節目で改めて自分を見つめ直しました。
自分のため?
家族のため?
社会のため?

そうだ、自分はと目の前にいる家族の未来のために働きたい。
それは単にお金を稼いで養うという意味ではなく、
自分の持つ技術を通して家族の抱える困りごとを解決したい。

生きていく上での日々の生活の様々な不便さを、
一人の父親として、
一人のエンジニアとして、
自分の持つ技術や関連するテクノロジーの力を組み合わせて解決に導きたい!

という想いにたどり着きました。

では、どんなテクノロジーが家族の未来に繋がるかを模索していく中で、
不自由な身体動作の代わりを出来るロボティクス技術
の可能性に魅せられ、
業務として息子の手足の代わりとなるロボット技術の研究開発にジョブチェンジする事にしました!


しかしその一方で、
企業として取組みだけでは、息子の「ダイレクトな困りごと」を解決をするのは難しい事も感じていました。
特に固定費が高い大企業では対象母数が広い世界を目指したがる傾向があり、
息子の様に症例が少ないマイノリティ事例を対象にするとビジネスとして成立しづらいためです。

更に、商品機器の開発スパンが最短でも1年以上かかってしまいますが…
子供の成長は著しい訳で、仕事として開発したものが、ほんとうにその時の子供に最適かどうか分からない。
その間に、息子はどんどん成長してしまい、本当に必要な時期に必要なテクノロジーを提供できない!

子供にとって大事なのは「今」なのです。



そう考えた結果、

「本業活動として難しい部分は、
個人でやればいい!」

という発想にいきつき、

特に息子や家族のダイレクトな困りごとを解決しようと、
個人でのモノづくり活動を始めました!


障害を持っているが故に人にサポートして貰う事が多く、受け身になりがちな息子。
その息子の好奇心を掻き立て、
「自分の力でやってみよう」
という子供の意志
を楽しく引き出そうとするための工夫の形。
そして、市販品がうまく使えない部分は、
身近な人・支援できる人達がその子に合わせてカスタマイズ&アップデートして「我が子専用」にしてやればよい。

大量生産社会から個人最適社会へシフトしようとしてるこの世界において、
身近な家族・友人達で「その人のために」カスタマイズし合える
『当事者×エンジニア(メイカー)』による暖かい世界こそ、これからの個人が幸せに感じるポイントになると自分は信じています!

また、息子や家族のために作ったモノを、同じ困りごとを抱えた当事者や支援者に一人でも多く届けたい。
その想いで、製作提供活動も進めています。

その想いを描いたブログ記事(2023/11)
ogimotokin.hatenablog.com

10歳を迎えた息子


モノやテクノロジーだけですべての困り事を解決する事は
現時点ではできないかもしれないけど、
その子に合わせた工夫をすれば何とかなるかもしれない!
そう思える機会を重ねる事で、
不安感を解消し、未来を明るく前向きにとらえる事ができる!

そのために自分はモノを作り続けていきたいです


これからも頑張って&楽しく子供達の「できる」を引き出していくモノづくりをしていきたいですし、
そういう活動に興味のある方にとって、
本ブログなどが何か良い影響に繋がればとても嬉しいです!


※本自己紹介の記事に対して、2020/5/1時点で15個の星を頂いていたのですが、URLを修正した際に不手際で消してしまった様です。(頂いた方大変申し訳ありません)

一旦、自分アカウントで当時の個数分を更新させていただいておりますので、ご容赦頂けますとありがたいです

ワンスイッチ操作で演奏できる 「打楽器ハンド(効果音付)」を作ってみた

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はじめに

今年の目標の一つである
『友達と一緒に楽器演奏するためのサポート機器作り』

製作のきっかけは、障害を持ったお子さんのご家族・友人らのSNS投稿。
「お友達と一緒に楽器演奏をしたがっている」
「手を上手に使えなくても、タンバリンやドラムを叩ける様になりたい!」
「自分の力でリモコンのスイッチを押したい」

を実現すべく市販機器を改造して試行錯誤されている様子を何度も拝見してきました。

「自分の意志でモノを押したい、自分で音を奏でる体験を作りたい」

当たり前にモノを押せる人達には気づきにくいニーズ。だからなのか、、、それを実現する様な市販品ってあまり見かけない……


一方で、電子工作の世界では、モノを叩く技術ってサーボモーターという基礎技術で実現できる可能性があります
(電子工作のスタートでLEDの次に使うのがサーボモーターだと思ってるくらい)

せっかくMaker業界では当たり前に実現可能な技術があるのに身近な生活の場面に浸透していないのが課題、と思って……

それならいっそ作ってしまおう!

というのが、製作モチベーションでした!

そこで、様々な楽器の中でも、まずは一番シンプルかつ全身でリズムを感じらる打楽器にチャレンジしたいと思います!


要求仕様

ただ「楽器を叩く」だけではなく、
「キレイな音を出せる」「設置設定がかんたん」「子供がつい遊びたくなる」体験を目指して
・重いバチも保持できる様な強力さ
・楽器&本体を簡単に取り付け & 位置調整できる
・叩いたときに、面白い効果音や光効果を加える遊び心

を実現ターゲットにしたいと思います。


完成品

上手に手が動かない子供でも、スイッチを使ってタンバリン・ハンドベル等を演奏できる簡易打楽器ハンドを作ってみました!

アーム部のアタッチメントを変更すれば
・タンバリン
・ドラムセット
・ドラム缶
ハンドベル

など、比較的 重たい楽器でも叩いたり振ることも出来ます!

また、音を奏でる楽しさを感じて貰うため、叩く瞬間に【楽しい効果音】を加える様な遊び心も加えてみました♪
効果音をうまく使えば、笛やブブゼラ、法螺貝など実際に吹くのが難しい楽器も雰囲気吹いてる感も出せるかも(笑)


あとは、設置の工夫として、
・楽器の位置調整を簡単にするため、アームの打点位置を調整する機能を追加
車椅子用ユニバーサルアーム/ビックグリップ/カメラ用三脚を取り付け出来る様にして、自由な角度・位置調整を簡単に出来る様にした
・車椅子に取付けできる様に単3電池駆動に変更
など、「使いやすさ」を意識して改良してみました。


また、あわせて、OriHimeと組み合わせた『遠隔楽器演奏システム』への活用も検討中です。
一旦、Blynkアプリを使って 4G回線経由でスマホから遠隔操作できる様にしてみましたが、我が家以外で活用してもらう事を想定した場合、ソースコード内にアカウント情報を埋め込まなければならない現手段では限界があるので、そこは改善を検討しています。
今後をお楽しみに(^-^)

全体システム

まず、「叩く機能の根幹であるサーボモータは以下を選定しました。

akizukidenshi.com

11kg/cm(6.0V)で価格1000円台というコスパの良いサーボモータ。ただし、副作用としては動作時に大電流(1A)を流してしまうので、マイコンと同一電源にした場合にラッシュ電流により電圧降下が発生してしまい、マイコンハングを起こしてしまう事が実際に起こります。
それを防ぐため、マイコン電源にピークホールド回路(電圧を長時間保持する回路)を組みます。
具体的には、マイコン側電源にダイオード追加+1000uF以上(今回は4700uF)のコンデンサ追加」を実施します。


[参考記事]
hiyokko-hard.com


マイコンは今回、スマホ非対応版 : Arduino Pro Mini(3.3V)」「スマホ対応版: ESP32 Dev-Kit C」を使用しました。
音源再生は、いつもの「DFPlayer Mini+スピーカ」になります。


回路図イメージは以下になります。

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ハードウェア

今回工夫したのは筐体設計です。使い方としては、以下の様な車椅子に取り付け可能なユニバーサルアームへ付ける事を想定しました。

調査した結果、取り付け先端としては大きく以下の3つに対応したら良さそうです。
・車椅子用アームスマホホルダー
横幅110mm以内
・大型クリップを付ける事ができる
厚み25mm以内
・カメラ用三脚ネジ
三脚ネジ(メス)を追加できるスペース

上記を満たす形になる様にFusion360で筐体を製作しました。

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なお、三脚ネジは以下を使用して、インサートナットの様にして埋め込みます。


スマホホルダーへ取り付け
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・大型クリップへの取り付け
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・カメラ三脚ネジへの取り付け
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・筐体内部の手作り基板
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まとめ

息子氏に使って貰ってみたところ、いろんなモノを楽器にして叩いて遊んでくれていました!
また、モニターとして数名の方(障害を持ったお子さんの家庭)へ試作品を提供して、実際に効果検証を進めているところです!

身体をうまく使えず楽器を上手く鳴らせなくても、この様な支援機器を使えば、
「できない」を「できる」に変える
「友達と同じ体験を共有できる嬉しさ」を作る可能性を秘めた、
『シンプルなHuman Augmentation技術』なのかもしれないなぁ、と思います。


そして、最初は「サーボーを動かしたら簡単に実現できるんだろうな」と思って始めましたが、
実際は「キレイな音を鳴らす」「簡単に設置できて使える」には多くのハードルがある事もよく実感出来ました!
頭の中の想像で終わらせるのでなく、実際に手を動かしてみたからこそ分かる課題、この積み重ねがノウハウになるんだと思います。
(やはり、「自分の手を動かす事」は大事ですね)


今後ですが、モニター数名による実証効果がありニーズがありそうならば、
キット化などの手段で困ってる方々の手元にご提供できるレベルまで進化させて見ようかと思います! (手段は検討中ですが)


もしご興味のある方がいれば、ご連絡頂けますと大変嬉しいです!

知育玩具「くるくるチャイム」をデジタルおもちゃに改造してみた

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はじめに

今年の開発テーマの一つである
「息子の好きな斜面転がしを活かした遊びを考える」


現在、リハビリで長期入院中の息子。毎日、自由時間は病院内のおもちゃで遊んでますが、さすがに同じものを繰り返しになると飽きてきてる様子…
   
その中でも、今はボールを転がすおもちゃ等が大好き!!
ただ、息子は好きすぎると興奮してしまい、積み木等で作ったレーンもすぐ破壊、最後までボールが転がらないので、息子もストレスたまる様子。。。
  
そこで、「ボールが確実に転がる(レーンを壊さない)おもちゃ」として目を付けたのが、
『くるくるチャイム』という昔からあるおもちゃ

くもん くるくるチャイム (リニューアル)

くもん くるくるチャイム (リニューアル)

  • 発売日: 2017/05/31
  • メディア: おもちゃ&ホビー
    
これならボールをいれると確実に最後まで転がる!!

しかし……
このおもちゃは ただ転がるだけ、最後にベルが「チーン」と鳴るだけという刺激も少なめな仕様。息子も数回すると飽きてしまっていた……

惜しい!!
これにせめて、楽しい音が鳴れば……

妻と二人で頭を悩ませたところ、妻が「作って欲しいなぁ…」と一言。

そう
なければ自分で作るしかない!!
   
という訳で、「くるくるチャイム」の良さを活かしながら、息子好みの刺激たっぷりのおもちゃにアップデートするべく試行錯誤しました!



要求仕様

刺激を加える要素として、

・「光」と「音」のエフェクトを追加
・ボールの転がり状態を強調した様な演出

完成品

斜面+光+音楽 という、息子の大好物の三コンボを取り込んだ新しいおもちゃが誕生しました!

一時退院中に息子に使って貰ったら、めちゃくちゃ気に入ってくれて、気がつけばエンドレスで遊び続けてくれてた!
なかなかのヒット製品になって、これはすごく嬉しい!
   
こういう個人の好みにダイレクトに突き刺す事ができるのは、イカーものづくりの最大の強みですね!



全体システム

一番の悩みは、くるくるチャイムの限られた空間内でのボール位置検出

本オモチャですが、ボール幅と筐体サイズがちょうどキレイに収まる設計になっています。そのため、レーン沿いに配線一本を追加で通すだけでボールが転がらなくなるという点に悩みました。その結果、ボールの転がらない底面のみで回路系を完結させる手段を取りました。くるくるチャイムの底部にToFレーザー型の測距センサーを埋め込み、ボール高さを検知して、その高さに応じてLEDテープ& 効果音を変更するという追加工作を実施。幸いな事に底面内部は筐体内にスペースあったので、電池以外の全回路を埋め込む様に小型化しました。

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ハードウェア

回路図は以下になります。

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技術そのものは過去に製作したモノの組み合わせで、個人的に定番デバイスの組み合わせになります。


・ボール位置検出 : ToFセンサ LX53V0
・音声再生 : DF Player Mini
・LEDテープ : NeoPixel WS2812B

■ToFセンサ/LEDテープを使った過去作成例
ogimotokin.hatenablog.com
■音声再生モジュールを使った過去作成例
ogimotokin.hatenablog.com


これらを束ねるマイコンですが、今回は、
無線非対応でOKな事、筐体内に格納できるコンパクトさを踏まえて
Arduino Pro Micro」を使う事にしました。

その結果、以下の筐体内に収める事ができました。

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Arduino Pro Micro

私は以下の5V16MHz品を良く使います。安いものであれば、1個500円以下なので気軽に試せるのが魅力です。
マイコンはATmega32U4で、USBコネクタを備えているので、気軽にUSB HIDデバイスを使うのに適しています。

Arduino Pro Microの書き込み方法等は以下のサイトを参考にしています。

ht-deko.com

書き込みはArduino Leonardo」を選択してやればOKです。


ソフトウェア

ソースコードは以下のGithubにアップしてます。

github.com

5つの距離閾値(START_DIST /MODE*_DIST)を設定してやって、その距離閾値を跨いだ場合にモードが遷移するというシンプルな仕組みになっています。

終わりに

普通の市販品おもちゃの特徴・良さを生かしつつ、その子の大好きな音や演出にちょっとだけ手を加えてやるだけで、「その子専用の魅力あふれるおもちゃ」が出来上がります!
市販品がうまく使えない息子がいたからこその、新しいメーカー的なおもちゃの可能性を感じる事をができました。

他のおもちゃでも同じ様な取り組みは展開していけそうなので、おもちゃ屋で色々と次のネタを探してみたいと思います!